3/26(金)開催「サプライチェーンにおける水リスク管理」
2021年9月1日(水)にオンラインセミナー「ゼロから始める水リスクマネジメント」を開催いたしました。
開催概要
- テーマ :サプライチェーンにおける水リスク管理
- 開催日時:2021年3月26日(金)10:30~11:35
- 開催方法:オンライン(Zoom)
- 主催 :八千代エンジニヤリング株式会社 水リスクラボ
- 参加費 :無料
- 参加人数:43名
世界の水資源は消費増加や汚染等にさらされ、さらに気候変動に伴う水害の頻発・激甚化が危惧されており、企業の水へのリスクは増大していくと考えられています。こうした状況のなか、企業はサプライチェーン全体で水リスクを低減し、持続可能な操業を行うことが求められています。サプライチェーン全体の水リスクへの低減は、CDPやSBTN(Science Based Targets for Nature)等の国際的なガイドラインでも言及されており、今後、機関投資家等のステークホルダーからの要請がさらに強まることが想定されます。
本セミナーでは、「サプライチェーンにおける水リスク管理」をテーマに、サプライチェーン管理に関する動向やサプライヤーの水リスク評価の実践事例について、紹介させていただきました。
サプライチェーン管理に関する動向について、CDP水セキュリティではサプライチェーンやバリューチェーンのエンゲージメントやリスク評価、その対応について一定数の配点がされており、失点してしまった場合にはスコアアップの障壁となります。今後SBTNやTNFD等のガイダンスが公表されることによって、バリューチェーン全体のリスク管理に対する機関投資家等の要請がさらに強まることも想定されます。しかしながら、企業がサプライチェーン全体の水リスク管理を行う際には、関係者やデータ量が膨大かつ関係構築にも時間がかかる可能性があり、すぐに対応ができるとは限りません。そのため、まずは情報収集やリスク評価等の今できることから取り組み始めることが重要です。
サプライヤーの水リスク評価の実践事例では、サプライヤーの生産拠点が位置する流域の水リスクとそれによる事業への影響の2つの観点についての評価方針や方法を説明しました。サプライヤーの数は非常に多くなることが想定されるため、そういった場合は事業への影響や対応の優先度が高いと考えられる主要事業などに絞って評価を行うのが現実的です。また、サプライヤーに関する情報量やエンゲージメントの取りやすさによって、評価のアプローチが変わってきます。例えば、サプライヤーの情報はあるがエンゲージメントが取りにくい場合は自社でサプライヤーに対して水リスク評価を実施する必要があります。以上のように、様々な状況においてもサプライヤーの評価は可能であり、弊社では、お客様の状況に合わせてサプライヤーの水リスク評価を支援することができます。
質疑応答ではたくさんの質問をお寄せいただきました。文末にQ&Aを掲載いたしますので、参考になれば幸いです。
次回のオンラインセミナーは、4月14日(水)10:30~11:30に「CDP水セキュリティへの向き合い方」、4月21日(水)11:00~11:30に「今知るべき海洋プラスチックの基礎知識」をテーマに開催します。
ぜひ多くの方のご参加をお待ちしております。
質疑応答
化学のような素材産業の立場では、サプライヤーの範囲が狭いと考えています。どういうエンゲージメント例があるでしょうか?
サプライチェーンの上流側に位置した場合でも、事業活動に必要な物品があると思います。その調達先がサプライヤーの対象となります。
エンゲージメント例は、基本的なアプローチは共通のものとなります。サプライヤーのリスクや水利用・管理状況を把握・評価したうえで、リスクがある場合には、サプライヤーへの要請や教育を実施することとなります。
スライド25ページの「陸域」と「淡水域」の違いは?
SBTNの初期ガイダンスでは、目標設定例として、陸域は土地利用変化に伴う森林破壊、淡水域は取水に伴う地域の水資源への影響が挙げられています。
貴重なお話ありがとうございます。SBTs For Natureには様々な項目があるとのことですが、個別に認定を取ることは可能なのでしょうか。
SBTNのフレームでは包括的な観点で環境課題のマテリアリティ分析やリスク分析が求められるものの、目標設定やアクションは課題別の取組みとなることが想定されます。現在は気候変動の分野のみでSBTの認定取得が可能です。気候変動以外の分野では、認定という形になるかは分からないため、今後最新情報が入手できれば共有したいと思います。
サプライヤーに関する情報・エンゲージメントの把握のマトリクスにおいて、当社は第三象限にあたります。またCDPからの情報取得も難しい状況です。このような場合、どう対応すればよろしいでしょうか?
サプライヤーに関する情報がなく、エンゲージメントが取りにくい場合、まずは自社の調達部署に情報の把握状況を確認する必要があります。それでも情報が得られなければ必要に応じて生産拠点へのヒアリングやアンケート調査などを行い、サプライヤーの位置や調達量を把握することで、自社によるサプライヤーの水リスク評価が実施可能です。
サプライヤーの調査は、どのくらいの頻度で見直すべきですか?
経済などの社会的変化や気候変動などを踏まえた環境変化を考慮すると、3~5年に1度程度の頻度でサプライヤーに関する評価を見直すことを推奨します。また、サプライヤーとの体制が見直された際や調達量が大幅に変化した際などにも評価を見直す必要があると考えます。
説明有難うございました。水リスクに関するSBTNを既に実施している企業や自治体は有りますか?また、ある場合にその進捗や課題は?
SBTNの概念は最近公表されたものであり、企業の先進事例の収集は十分にできていません。SBTNにおける自治体の位置づけは、企業の目標設定の方法論構築とともに、検討事項として挙げられているため、今後検討が進められるものと考えられています。
サプライヤーに対してリスクのセルフアセスメントを行う際に、どのような項目を設けたらよいのかの参考になるものはないですか。
自社でサプライヤーの評価を実施する場合、生産に必要な水の確保が困難となるリスク(水量リスク)、生産地が洪水・干ばつなどの被害を受けるリスク(自然災害)、生産に対する規制・評判リスクなどの項目を設定し、アキダクトなどのグローバルツールや文献調査によってそれらのリスク評価を行うことことが可能です。
上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。