1/26(水)開催「CDP水セキュリティ回答時のポイント」

2022年1月26日(水)にオンラインセミナー「CDP水セキュリティ回答時のポイント」を開催いたしました。

開催概要

  • テーマ :CDP水セキュリティ回答時のポイント
  • 開催日時:2022年1月26日(水)10:30~11:20
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社 水リスクラボ
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:117名

昨年のCOP26の開催によって気候変動への取組みが世界で加速する中、日本国内においても、東証再編に伴ってプライム市場上場企業は「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示」が義務化されるなど、水リスクを含むサステナビリティへの関心が非常に高まっています。さらには、2022年にはSBTNやTNFDといったイニシアチブによって水や生物多様性、森林等を含む自然資本に関する新たなフレームワークの導入が見込まれています。したがって、企業は水リスクを考慮した事業活動が求められるとともに、ESG投資先としての企業価値向上を目的とした、適切な情報開示が重要です。
CDPは質問書を通して企業のESGリスクを評価し、投資家等に向けて情報開示を行う格付け機関です。CDPへの情報開示企業数は世界的にも増加しており、質問書のテーマの1つである「水セキュリティ」では、2021年のAリスト企業数は日本がトップとなるなど、国内でも対応が進んでいます。水セキュリティの質問書では、水資源量や水質、水害等の水リスクへの企業の対応状況が多面的に問われており、スコアリングはWWFで推進されているウォータースチュワードシップに基づいて位置づけられているため、スコアによって自社の水リスクマネジメントのレベルを把握することができます。

 

他方、設問内容は多岐にわたっており、自社の取組みと回答を紐づけることや、年々のアップデートによって企業への要求レベルが上昇する中で、対応に課題感をお持ちのご担当者様もおられるのではないかと思います。
本セミナーでは、上記の背景を踏まえ、近年のサステナビリティの動向やCDP水セキュリティ質問書の2021から2022にかけての変更点概要、回答時のポイントとして、当社が推奨する水リスクマネジメントフローに沿ったCDP対応についてご紹介いたしました。

 

質疑応答ではたくさんのご質問をお寄せいただきました。文末にQ&Aを掲載いたしますので、参考になれば幸いです。

 

次回のオンラインセミナーは、3月10日(木)の開催を予定しております。テーマについて詳細が決まり次第、改めてメルマガからご案内させていただく予定です。
多くの方のご参加をお待ちしております。

質疑応答

W7の質問内容の修正で言及されていた、気候関連以外のあらゆるシナリオとはどのようなものを指すのでしょうか。

これまでのIEAやIPCC等の気温上昇シナリオだけでなく、水関連の影響であれば、社会経済や土地利用、人口増加等のシナリオについても回答できると考えられます。

CDP質問書で予想される今後の傾向などはありますでしょうか 。

2022年の気候変動の質問書では生物多様性の設問が導入され、金融セクターにおいても、森林や水に関するモジュールが追加されたことから、将来的には既存カテゴリーを統合したような質問書が作成される可能性もあります。
また、今年1月に開催されたCDPAリストアワードでは、CDPの活動領域を土地利用やレジリエンス、資源、海洋、食料等にも拡大していくとの方針が発表されたことから、企業に求められる取組みの領域や要求レベルは今後高まっていくものと予想されます。

新設されたW1.3の取水効率について、原単位との違いを教えてください。

原単位は、一般的に一定量の商品を製造する際に使用/排出される生産物や時間等の量を指します。一方で、ここでの取水効率値は、「水の取水から生み出される経済価値」を指す指標であり、総取水量あたりの収益で求められるものとなっています。

サプライチェーンの水リスク評価フローにおける事業特性指標は、各品目により貴社独自の係数があるということでしょうか。

当社で使用する事業特性指標は、原材料の水使用量を基本としており、お客様からご提供いただいた生産品目別の調達量にウォーターフットプリントなどの水使用原単位を乗じて算出します。そのため、同じ品目であっても、お客様からご提供いただいた生産地などの情報によって値が異なります。

サプライチェーンの水リスク評価において、自社製品が多種にわたる場合には、評価対象としてどの製品を選択するべきか、生産量や売上高の他にどのような視点が考えられるでしょうか。

製造工程において水使用量が多い、もしくは排水水質が懸念されるなど、環境負荷の大きさも1つの例として挙げられます。

CDP水セキュリティの基盤として位置づけられているWWFウォータースチュワードシップの出典元資料について、WWFサイト情報等を教えてください。

以下出典となりますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。
●世界自然保護基金(WWF:World Wildlife Fund)のWEBサイト
https://www.worldwildlife.org/
●Water Stewardship Ladderに関するWWFのマニュアル「Water Stewardship Revisited」
https://d2ouvy59p0dg6k.cloudfront.net/downloads/wwf_waterstewardship_brief_web_final.pdf

水リスクマネジメントフローにおける「水リスクの低減」について、具体的な手法を教えてください。

リスクの低減対策は水リスクの種類によって異なります。例えば、水害リスクのある事業所については防水壁等のハード対策やBCP策定等のソフト対策が挙げられます。
また、水資源量に関するリスクであれば、水ストレスの高い地域に位置する事業所での節水対策や水源涵養活動の他、行政との協働によって地域全体でのリスク低減に貢献するといった例も考えられます。

WWFからWAVEツールが出るとホームページに記載がありましたが、時期をご存知でしょうか。

WWFのWEBサイトにおいても「開発中」となっており、当社としてもリリースされる具体的な時期については把握しておりません。

サプライチェーンにおける水マネジメントについて、定量的な水関連データ管理まで必要となるのか等、今後の動向について教えて頂けないでしょうか。また、サプライチェーン各社にAcueduct等による水リスク評価を求めるべきでしょうか。

気候変動のスコープ算定の考え方と同様に、水についてもサプライチェーンのどの段階で水使用量や水質負荷が大きいかを把握する必要がありますので、定量的な水関連データの収集・管理が求められてきます。
水リスクについては、地域やサプライチェーン全体で対応していく必要がありますので、まずはサプライヤーのリスクの把握状況を確認し、把握できていない場合は、必要に応じて自社の手法などを例にサポートしていくことも必要かと思います。また、サプライヤーの位置や事業情報を把握していれば、自社でも概略の評価を実施することが可能です。

上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。

ページのトップへ戻る