6/9(木)開催 『気候変動に伴う「流域治水」の考え方と企業の「水害リスク」について解説』

2022年6月9日(木)にオンラインセミナー『気候変動に伴う「流域治水」の考え方と企業の「水害リスク」について解説』を開催いたしました。

開催概要

  • テーマ :気候変動に伴う「流域治水」の考え方と企業の「水害リスク」について解説
  • 開催日時:2022年6月9日 (木) 11:00 ~ 11:50
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社 水リスクラボ
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:78名

世界では「ネットゼロ」、日本では「カーボンニュートラル」が2050年目標として宣言されたことを受け、企業の気候変動への関心が高まっています。気候変動が自然災害に及ぼす影響としてゲリラ豪雨や降雨強度・頻度の増加による河川洪水、土砂災害、高潮が懸念されており、企業は持続的な操業を行うための災害対策が重要となっています。
近年の大きな災害の特徴を受け、日本では水害を完全に防ぐ「防災」から被害を最小化する「減災」へと対策をシフトしています。また、役割分担を明確にした対策から「流域治水※」という考え方での対策へ転換し始めています。

 

そこで、今回のセミナーでは、気候変動を踏まえた流域治水の考え方と水害に対する企業リスクの評価手順、ソフトからハード対策検討までの一連の流れについて解説いたしました。

 

※「流域治水」とは地域の特性に応じて防災減災、被害対象の減少、被害軽減・早期復旧復興の3つの視点で、河川流域全体のあらゆる関係者が協働して治水対策を進める考え方となります。この中で企業は水災害に対し操業拠点ごとにリスクを把握した上で、被害の軽減や早期復旧への対策としてBCP策定や浸水対策が必要となってきます。

 

質疑応答ではたくさんのご質問をお寄せいただきました。文末にQ&Aを掲載いたしますので、ご参考になれば幸いです。

 

次回以降のオンラインセミナーについては、詳細が決まり次第メルマガよりご案内させていただく予定です。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

質疑応答

サプライヤーの水リスクを把握していくには、どのような手順を踏んでいけばよいのでしょうか。

リスクの把握から対策までの手順は下記のようになります。
1.サプライヤー情報を整理
2.【水害リスクの場合(日本拠点)】
  ハザードマップで洪水規模別の浸水深を把握
  【他の水リスクまたは海外拠点の場合】(以下、段階的に精細な情報となる)
  ①Aqueductでリスク調査
  ②拠点ごとに既往の問題があったかなどアンケート調査
  ③必要拠点に対して個別の浸水想定解析の実施
3.企業内の重要度を踏まえた優先拠点の評価
4.企業としてリスク対策目標を設定
5.個々の対策を推進

国内の気候変動による水害リスク=洪水リスクの理解でよろしいのでしょうか。海外においては異なるのでしょうか。

国内においては一般的に水害リスク=洪水リスクでほぼ良いですが、ほかに高潮リスクや内水氾濫(降雨が排水されずにたまってしまう)などがあります。
海外においては洪水と氾濫原資産が一致しない場合も多いため、必ずしも水害リスク=洪水リスクにならないことも考えられます。

一級水系≒大河川の理解でよいのでしょうか。

はい(正確には下流部で国土交通省が管理している(堤防区間)を有す河川全体が一級河川と指定されています)

ハザードマップを策定されていない市町村があるとのことですが、予定や計画は出ているのでしょうか。(いつまでに策定する様な指示が国から出ているなど)

国の方針として、早急な対応を行うこととされています。人命優先として、市街地から順次進んでいます。

水害リスクに関する説明の中で、ハザードマップでリスク評価が反映されていない又は未整備の場合もあるとのことでした。
空白域はリスクが低い地域と思っていましたが、専門的な知識がなくてもその違いは判断できるでしょうか。

ハザードマップ・浸水想定図に記載される対象範囲内で空白となっている場合は想定される被害はないものと理解されて結構です。
その上流にある合流する支川などは未検討であり、河川と拠点の高さ関係を確認することなどから判断を始めることが良いと思います。

想定する災害は、2度上昇時に気候変動の影響によって100年に1度が50年に1度レベルかと思われますが、1000年に1度の災害に対策するのは現実的ではないと思います。
L1(100年に1度)レベルよりやや高いレベルが妥当という認識ですが、この考え方についてご指南ください。

2℃上昇時が100年、50年に1回レベルであるかは断言できませんが、気候変動への対策として100年、200年規模の洪水に対する対策を行う企業様が多いです。
1,000年に1回規模まで考慮して対策を行うのは費用対効果が見合わないと思います。

仮に1000年に1回の確率で起こるような最大規模の水害が発生した場合、公共インフラの停止日数はどのくらいになるのでしょうか。

停止期間ではお答えできませんが、川沿いの街の大半は、ほぼ浸水してしまいますので近年の大災害と同等かそれ以上に復旧時間を要するかと思います。

熊本の水害において、電気、ガス、水道等の公共インフラが停止した最長日数は、何日ほどでしょうか。

被害報告はあるものの復旧報告はありませんが、橋梁が多く落橋損傷したため応急復旧に対しても数ヶ月の長い時間が掛かったものと考えられます。

公共インフラ復旧の優先順位を「市役所があるような市街地」「郊外の住宅地」「工業地帯」等のように区分した場合、順位はどのように付けられますか。

人命優先のため、以下の優先順位となります。
1.「市役所があるような市街地」
2.「郊外の住宅地」
3.「工業地帯」

100年に1度の災害に備えて、利益のどの程度の被害があると想定し、どの程度の金額を対策に企てるべきか目安を教えてください。

企業の規模、業種、水害リスク(河川から近いか、周辺河川の規模)によって対策レベルは大きく異なります。
被害を防除する予算(BCPや避難措置以外)として平均的には1~2週間位の工場停止出荷額分は必要と考えられます。 

上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。

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