8/26(金)開催 「気候変動だけじゃない!様々な自然資本のサステナビリティの対応方針」
2022年8月26日(金)にオンラインセミナー「気候変動だけじゃない!様々な自然資本のサステナビリティの対応方針」を開催いたしました。
開催概要
- テーマ :気候変動だけじゃない!様々な自然資本のサステナビリティの対応方針
- 開催日時:2022年8月26日 (金) 11:00 ~ 11:50
- 開催方法:オンライン(Zoom)
- 主催 :八千代エンジニヤリング株式会社 サステナビリティNavi
- 参加費 :無料
- 参加人数:84名
現在、世界中で気候変動への対応が急務となっており、民間企業や行政などではSBTやTCFDなどのグローバルなイニシアチブやガイドラインに則って温室効果ガス排出量の評価や対策の検討が進められています。
一方で、気候変動や社会・経済的な変化によって、水資源や生物多様性、海洋環境などの自然資本に関する状況も刻一刻と変化していますが、それらを評価する方法や目標設定の方法は国際的な機関などによって議論されている最中であり、企業は今できる取組みから始めることが求められています。
しかし、様々な自然資本への対応について、何をどのように始めたらよいか、既に進めている取組みは正しい方向に向かっているのかなど、不安を感じている方も多いかと思います。
本セミナーでは、気候変動以外の自然資本への影響把握や目標の設定について、本質的にどのように検討していくべきかについて、SBT for NatureやTNFDなどのグローバルな枠組みで検討されている内容も交えながら紹介しました。
質疑応答ではたくさんのご質問をお寄せいただきました。文末にQ&Aを掲載いたしますので、ご参考になれば幸いです。
次回2022年10月26日のオンラインセミナーは、「今話題のSBTs for Natureに基づき水の目標設定手法についていち早く解説!」というテーマにて開催いたします。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。(10/21(金)締め切り)
質疑応答
SBTiのコミットと認証の違いを教えてください。
コミットとは2年以内にSBT設定を行うという宣言で、コミットした場合にはSBT事務局やCDP等のウェブサイトに公表されます。その後、GHGs排出削減目標を設定しSBT事務局による認定を受けると認定企業としてSBT等のウェブサイトに公表されます
SBTiの認証は第三者機関があるのでしょうか。
SBTの認定はSBT事務局が実施しますが、認定に向けた支援などを実施しているコンサルタント会社もあります。
TNFDについて、現時点で何をどこまで理解しておく必要があるのでしょうか。
これまでに公表されているフレームワーク(V0.1,V0.2)の内容や今後公表予定のV0.3(2022年10月)、V0.4(2023年2月)を確認し、リスクや機会の評価に向けてどのような準備が必要かを把握しておくことが必要です。
TNFDは TCFDと内容が重複しているのでしょうか。
TNFDはTCFDのフレームワークがベースとなると言われていますが、詳細なプロセスなどは現在検討されている最中です。
なお、TNFDは自然資本に対するリスクや機会の評価であるため、TCFDで開示している情報をそのまま利用できるわけではないと考えますが、把握した気候変動によるリスクや機会の種類によっては、自然資本と関連するものもあると思いますので、そういった場合は活用が可能であると考えます。
TCFDの賛同社数が、数・数の伸び率とも日本が群を抜いている理由は何でしょうか。
日本のTCFD賛同機関数は、2019年のTCFDコンソーシアム設立を境に世界最多となっています。TCFDコンソーシアムは、経済産業省・金融庁・環境省をオブザーバーとして、TCFDの取組み推進、企業の効果的な情報開示、開示情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取組みについて議論する場として設立されました。
また、TCFDサミットの開催や温室効果ガス排出量削減に関する閣議決定などによって、賛同機関数の伸びが大きくなっていると考えられます。
TNFDは、TCFDのようにコーポレートガバナンスコードで開示を求められるなど、企業への開示要請は強まることが想定されますか。
TNFDも将来的に(具体的な時期はわかりかねます)、TCFDと同様にコーポレートガバナンスコードで開示が求められる可能性は高いと予想しています。
TCFDとTNFDにおいて、先に着手すべきはTCFDという認識でよいでしょうか。
現段階でフレームワークとして確立されているのはTCFDですので、そういった意味ではTCFDから着手するのがスムーズかと思いますが、企業ごとにインパクトの大きい環境項目は異なってきますので、その状況に応じて取組を進める分野を検討していくことも必要だと思います。
現在あるSBTで認証されなければ、SBTNで認証されるのは難しいでしょうか。それとも、分野が全く異なるなどの理由により別物という扱いになりますでしょうか。
SBTの認証を受けていなければ、SBTNで認証を受けられないという話は伺っていません。
生物多様性の影響評価を行うツールが複数あるというご説明がありましたが、現時点でどのツールを使えばよいかの判断は各企業によるのでしょうか。
今後TNFDで判断のガイダンスも示される可能性はありますか。
現時点で各分野の評価をする上での決まったツールはありませんので、まずは企業が何の自然資本に依存や影響関係にあるのかを把握したうえで、依存や影響が大きい自然資本の地域のリスク等が確認できるツールを選択していく必要があります。
生物多様性の影響評価を行うツールについて、無料で使用できるものはありますか。また、専門知識がなくても、簡単に使いこなせるものなのでしょうか。
無料で使用できるものも多くあります。なお、ツールにもよりますが、各種評価指標の意味や考え方について、少なくともそのサイトの説明ページや出典情報を確認する必要があり、それらを理解したうえで使用することが望ましいです。
評価ツールなどにより、自社拠点の下流に絶滅危惧種の生息に関する情報を得た場合、「自社の排水がどの程度影響しているか」はどのように評価するのでしょうか。
例えば、その絶滅危惧種の生息数になるのでしょうか。
影響について把握する場合は、特定した種がどのような理由で絶滅の恐れがあるのかを把握し、その理由と自社拠点の事業活動との関係性を踏まえて影響を評価するのが理想です。
例えば、地域の水質が悪化していることによって対象種が絶滅危惧種となっている場合は、対象水域で求められている水質等の基準に対して、拠点がどの程度の排水をしているのかがポイントになります。
貴社サービスのリスク評価の事例についてご教示ください。(どんな業種で、どんなリスクに対してどう定性/定量的に評価したか、難しさのポイントなど)
ENCOREという業種や活動内容ごとの依存や影響関係を分析するツールを用いた自然資本と企業の関係性の把握や、IBATという統合生物多様性評価ツールを用いて拠点周辺における重要な生息地域の把握やリスク評価などの事例があります。
自然資本として鉱物やエネルギー資源も該当するとありましたが、これらを採取する際の影響というのは、資源枯渇という側面での影響を検討することになるのでしょうか。
それとも、採取場所の生物多様性に対する影響度(生物多様性として重要な地域か否か)を検討することになるのでしょうか。
資源の枯渇が影響としては大きいですが、それ以外にも資源を利用することによる他の自然資本への影響や、サプライチェーン全体でのリスクや機会の評価も必要です。もちろん、採取活動やそれによる土地の改変などによって生物多様性に影響を及ぼす可能性がある場合は、その検討も必要になります。
「生産時の取水によりその地域の自然にどれくらいの負荷をかけているか」「工場排水によりどれくらいの汚染負荷の可能性があるか」「工場での操業でその周りの生態系にどれほどの影響を与える可能性があるか」等のテーマを考えています。
建設機械メーカーの場合、現段階でどこまで踏み込めば良いのでしょうか。
それぞれの影響がどの事業や地域で大きいかを事業情報や地域の状況を踏まえて大まかに把握し、影響が大きいと予想される分野などから取組を進めていくのが良いのではないでしょうか。
水の影響は地域をミクロ的に評価するとのご説明でしたが、水への影響は気候変動が大きく影響するためマクロ的に把握する必要があるのではないでしょうか。
気候変動によって変化する要因(降水量や気温など)については広範囲での予測や評価が必要になりますが、その要因によって変化する水資源や水質、洪水等の状況は各流域で評価するのが一般的です。
上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。