11/15(水)開催 「最新動向を把握!TNFDv1.0の全体像や分析・開示手法を解説」

2023年11月15日 (水)にオンラインセミナー「最新動向を把握!TNFDv1.0の全体像や分析・開示手法を解説」を開催いたしました。

開催概要

  • テーマ :最新動向を把握!TNFDv1.0の全体像や分析・開示手法を解説
  • 開催日時:2023年11月15日 (水) 11:00~11:45
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社 サステナビリティNavi
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:130名

自然がもたらすさまざまな生態系サービスは、私たちの生活や企業活動を支える根本です。土地転換や水利用、汚染などの人間活動によって自然の劣化が進む中、近年では「自然劣化を防ぎ、自然共生社会を目指すため、生物多様性の損失を食い止めて回復軌道にのせること(ネイチャーポジティブ)」の動きが国内外で急速に高まっています。

 

こうした背景から、グローバルではTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が2021年に立ち上げられ、企業の自然関連のリスク管理と情報開示の標準化に向けた開発が進められてきました。そして今年9月18日、TNFDから最終提言の位置づけとしてTNFDフレームワークv1.0が正式に公開されました。

 

本セミナーでは、企業がいち早く TNFD 最終提言に沿った分析・開示を行うために、TNFDフレームワークベータ版v0.4からの変更点を踏まえて提言の全体像やLEAP アプローチの概要、その他フレームワークとの関連性についてご説明しました。

 

質疑応答では、ご質問をお寄せいただきありがとうございました。
沢山のご質問のうち一部ではございますが、文末にQ&Aを掲載いたしますのでご参考になれば幸いです。

 

次回以降のオンラインセミナーについては、詳細が決まり次第改めてメルマガよりご案内させていただく予定です。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

質疑応答

ネイチャーポジティブとはどの時点との比較になるのか教えてください。また、どのような状態が「自然が再興している」と判断できるでしょうか?

組織によってネイチャーポジティブの定義が違っており、どの定義を採用するかによって異なります。自然再興についても同様ですが、例えば、SBTNに沿って設定した目標値を達成した場合などは、自然再興に寄与したと判断できると考えています。

日本では先住民との関わりがある拠点は少ないと思いますが、その場合は地域コミュニティとの関わりのみ考慮すれば良いのでしょうか?

先住民と関わりのある地域に位置する拠点がない場合は、その他ステークホルダー(地域コミュニティ、影響を受けるステークホルダー)を考慮した評価・開示で良いと考えます。ただし、先住民との関わりがない判断した根拠は開示することが望ましいです。

サプライチェーンとバリューチェーンの明確な定義や違いを教えてください。

サプライチェーンは「商品の供給の流れ」であり、物の供給に直接的に関わるプロセス(購買・物流・製造・物流・販売など)を指します。一方、バリューチェーンは「価値の連鎖」であり、サプライチェーン以外の研究開発やマーケティングといった間接的な企業活動も含むより広い概念です。

影響やリスク機会の定量評価を行うためのガイダンスは出ているのでしょうか?

現状、TNFDから上記に特化したガイダンスは出ていません。

TNFDやLEAPを実施する際、段階的な開示でも良いのでしょうか?初期段階でも必須の開示項目はどのあたりになりますでしょうか?

TNFDでは段階的な開示を認めており、おおよそ5年後までに完全な開示を求めています。初期段階の開示必須項目は特に示されていませんが、TNFD調査結果(Recommendations of the Taskforce on Nature-related Financial Disclosures 図31)の他社動向が参考になるのではないかと思います。

ENCOREの産業分類の中に、自動車製造業や自動車販売業はありますか?

はい、含まれています。

原材料で環境・人権面からの認証を受けた材料を使用している場合など、既に配慮した取り組みをしている場合でも、LEAPアプローチで評価を行う必要があるのでしょうか?

一旦は、そのようなコモディティも含めてLEAPのL・Eの評価を実施することが望ましいですが、Assessフェーズでは、既存の配慮を踏まえて、優先的に対処すべきリスクとして挙がってくる可能性は低いと考えています。

SBTNの「科学的根拠」の意味合いを教えてください。

自然は地域性が強いため、地域の現状での自然状態とあるべき自然状態の差を踏まえ、目標設定をしていきます。このように、水削減目標などについても、企業等が任意で目標を設定するのではなく、上記のアプローチに則って設定するという意味合いになるかと思います。

自然や生物多様性への対応において、地域貢献としての取り組みと、事業活動に関わる取り組みを別々に考えた方がいいのでしょうか?TNFDは事業活動に関わるものになるはずですが、30by30は地域貢献として、例えば事業所から離れたところでの植林活動の取り組みも対象になるのではと考えています。

当社としても、TNFDの優先地域と地域貢献の観点での優先地域は必ずしも一致しない可能性があり、企業の取組みを考える上での課題であると認識しております。現状、TNFDを進める中で両者が一致することがベストですが、そうでなかった場合は、TNFDとは別の切り口から、地域貢献の取組みを進めていただくことが望ましいと考えます。

生物多様性における依存と影響の把握というのは、製品のライフサイクルアセスメントとほぼ同意という理解で良いのでしょうか?

ライフサイクルアセスメントは、製品やサービスの環境負荷を定量的に評価する手法であり、「影響」の側面が強いと思われます。ただし、製品を原料段階から廃棄まで評価する手法ですので、TNFDにおいてもライフサイクルアセスメントを活用することができると考えられます。

TCFDにおけるプライム市場の企業に対する開示義務のように、TNFDも同様の方向に進んでいくのでしょうか?

昆明・モントリオール生物多様性枠組み(グローバル)や生物多様性国家戦略(日本)でTNFDの推進が掲げられていることや、TCFDが既に日本国内のプライム市場で事実上の義務化となっていることから、TNFDもTCFDと同じレベルで企業への要請が強まり、最終的には開示義務化の可能性が高いと考えています。

里山保全活動の効果は、どのようなロジックで定量化するのでしょうか?

里山保全活動の内容とこれにより発揮される効果・便益との因果関係を整理したのち、既存の研究事例や官公庁の評価ガイドライン等を参考に、CO2吸収や洪水防止、生物多様性保全など複数の効果を定量的に可視化します。さらに、この結果を活用した活動のビジョンの達成目標や定量化の指標の検討などについても、ご要望に応じて検討いたします。詳しくは、サステナビリティナビお問い合わせよりご相談ください。

考慮するステークホルダーの選定は、主体的に決定してもいいのでしょうか?何らかの客観的なガイドラインはあるのでしょうか?

関連するステークホルダーを特定する際の考え方も含め、TNFDではステークホルダーエンゲージメントに特化したアディショナルガイダンス「Guidance on engagement with Indigenous Peoples Local Communities and affected stakeholders v1」を公開しています。また、ガイダンスの中では実践に役立つ他のガイドラインも紹介されています。

既にTNFDを進めている企業を教えてください。

花王やKDDI、キリングループ、三井住友フィナンシャルグループ、NECなど既に多くの企業がTNFD開示を行っています。TNFD最終提言の公開に先立ち、TNFD試行として部分的な開示を行っている企業も多数ございます。

ENCOREで重要要素を特定すると、依存・影響とも淡水関連が出てきます。この場合、まずはCDPの水セキュリティの設問に沿ってリスク・機会・管理を考えていくのがいいのかと思っていますが、そのような認識で良いのでしょうか?また他に留意する点があれば教えてください。

の設問に沿ってリスク・機会・管理を考えていくとのことですが、どのような検討をされているかによって、TNFDとの互換性が変わってくるかと思います。もちろん、共通する点も多くありますので、検討結果がCDPにもTNFDにも使えるということはあると思います。

脱炭素と生物多様性の取組みにおいて、相反するケースはどちらを優先すべきでしょうか(最終処分場の跡地に太陽光パネルを設置するなど)?

TNFDでは一般要件の1つに、「他のサステナビリティ課題との統合」が挙げられており、特に、気候変動と自然関連の活動・目標との間での整合性や相乗効果、トレードオフを明確に特定しなければならないと記載されています。そのため、企業はTNFD開示をする中で取組みのトレードオフを把握し、どちらを優先するかではなく、両分野でバランスの取れた取組みを推進することが求められます。

SBTNの取得がCDPで評価されるなどの流れはあるのでしょうか?

現時点では未定ですが、CDP-CではSBTの取得有無によって採点の流れが変わっています。このような背景から、CDP-Wなどでも将来的にはSBTNの有無によって採点の流れに違いが生じる可能性もあると考えおります。

TNFDに初めて取り組む企業がすべきことは何でしょうか?

まずはスコーピングになります。企業の直接操業、バリューチェーンのどこを検討し、開示していくのか、どのくらいのリソースを割いて実施するのか、そのスケジュールはどのような計画になっているのか、そのあたりの概略計画を立てるのが、まず初めに検討すべきことと考えます。

TNFD情報開示の際、使用したツールは記載すべきでしょうか?

ツールについては、必ず開示しなければならないとはなっておりませんが、ステークホルダーへの説明性という観点では記載された方がベターであると認識しています。

上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。

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