Project File19
事業継続のためには当然
TNFD情報開示にいち早く取り組んだ理由
株式会社アイシン
環境負荷低減や事業の持続可能性に関する非財務情報開示が企業に求められるなか、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に注目が集まっています。TNFDは、組織が自然に関連する自社のリスクと機会を適切に評価し、開示を推進するためのフレームワークを開発しており、2023年9月に最終提言が公開されました。こうしたなか、電動ユニットやクルマを構成する幅広い製品群を製造する株式会社アイシンでは、最終提言の公開に先駆けてTNFDの試行開示に取り組みました。リソースが限られるなか、不確定要素が多く手探りで進められたプロジェクトでしたが、当社は伴走体制で支援しました。
- 概略調査
- 詳細調査
- 目標設定・
ビジョン - 対策
- 発信
課題
- 自社の事業活動と自然共生との関連をTNFDを活用して整理の上、見える化したい
- 生物多様性や自然共生分野に対する社内の意識を高めたい
サポート概要
- TNFD試行開示に関する情報整理と社内マニュアルの作成
- LEAPアプローチに沿った評価・分析
- 開示案のレビュー
自然への環境負荷を減らし、ネイチャーポジティブに貢献することは企業として当然
トヨタグループの一員である株式会社アイシン(以下、アイシン)は、自動車部品を手掛けるメーカーです。自動車業界で近年注目されるのが、電動化への取り組みです。アイシンでは、電動化に対応する新たな製品の開発や切り替えを進め、国内外のカーメーカー(OEM)から寄せられる環境負荷軽減への高い要求に応えるべく、体制を強化しています。
アイシンでは、これまでにも生物多様性や自然との共生のためのさまざまな施策に取り組んできました。例えば工場排水は施設内の設備で浄化してから河川に排出するほか、半田工場ではビオトープを整備しています。
河川やビオトープでは生態系調査も行っており、自然に近い生態系を維持できるよう努めています。また近隣の小学校と合同で、河川やビオトープ内の生き物の観察会を16年連続で毎年開催。子どもたちの環境学習を支援しています。
こうしたさまざまな施策に取り組むアイシンにおいて、社内での自然関連の取り組み意識は決して高いものではなく、人的リソースも限られています。
しかし、事業活動による環境への負荷を減らし、ネイチャーポジティブに貢献していくことは、本来当然のことだと考えています。
限られたリソースで他より先んじて情報開示へ
こうした生物多様性や自然共生の取り組みを進めるなかで、TNFDのフレームワークや要件も不確定な状況で、かつ限られたリソーセスで試行開示に取り組む必要がありました。
高い専門性と充実した体制での支援
八千代エンジニヤリングにプロジェクト支援をお願いすることになったきっかけは、あるセミナーで自然関連のフレームワークでとても分かりやすく解説されているのを見て、アイシンから声を掛けました。
プロジェクト開始後、まず取り組んだのはフレームワークドラフト版の内容把握です。TNFDではドラフト版ガンダンスを頻繁に公表していたため、その内容を逐一把握する必要がありました。八千代エンジニヤリングには、その都度わかりやすく解説していただき、不明点についての難しい質問にも迅速にわかりやすくご回答いただき、一貫して丁寧な対応でスムーズに進められました。
報告書の制作段階でも具体的なコメントをいただき、その内容を反映させて最終的な報告書にまとめることができました。まさに伴走体制での支援だったのではないでしょうか。TNFDの最終提言が公開された2023年9月の末には、統合報告書として開示することができました。未確定要素が多いなか、いち早く開示に漕ぎ着けたことは、なによりの成果です。
次なる課題は、全社的連携による自然資本への意識改革
試行開示ができた今、次の課題は他部署を巻き込んだ連携です。全社的に見れば、自然分野に対する意識はまだまだ低いのが現状の中で、関係者を集めた説明会を開催し啓蒙していくなど、徐々に社内の意識を高めて取り組む予定です。
株式会社アイシン
株式会社アイシンは、日本の大手自動車部品メーカーである。トヨタグループの一員として、1965年に設立された。主な事業は自動車部品、エネルギー・住生活関連製品の製造販売であり、グローバルに生産拠点や研究施設を持つとともに、持続可能性や環境保護への取り組みも進めている。
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