GX推進法成立から1年。国内外におけるカーボンプライシングの動向

2024年8月1日 (木)にオンラインセミナー「GX推進法成立から1年。国内外におけるカーボンプライシングの動向」を開催いたしました。

開催概要

  • テーマ :GX推進法成立から1年。国内外におけるカーボンプライシングの動向
  • 開催日時:2024年8月1日(木)11:00 ~ 11:55
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:172名

昨年5月、日本ではGX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)が成立しました。成立の背景には、海外で急速に進むGX投資に追随しながら、産業競争力を高めていきたいという意図があります。推進法のなかでも特に影響が大きい施策としては「成長志向型カーボンプライシングの導入」が挙げられます。これにより、企業が排出するCO2に対して負担金が課されることとなりました。企業によっては脱炭素施策への投資をせざるを得ない状況に置かれています。一方で、自主性に任される部分もあり、環境担当者にとって判断に悩むポイントが多分に含まれています。

 

本セミナーでは、企業におけるGHG排出量の算定方法について解説したのちに、脱炭素社会の実現に向けた取り組みである「カーボンプライシング」と「カーボンクレジット・証書」に焦点を当て、カーボンプライシングの基本的な考え方や日本のGX法の特徴、カーボンクレジット・証書の市場動向についてご紹介しました。

 

質疑応答では、たくさんのご質問をお寄せいただき、ありがとうございました。

ご質問のうち一部ではございますが、文末にQ&Aを掲載いたしますのでご参考になれば幸いです。

 

次回以降のオンラインセミナーについては、詳細が決まり次第、あらためてメルマガにてご案内させていただく予定です。

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

質疑応答

非化石証書とグリーン証書の違いは何でしょうか?

1点目は償却期間です。非化石証書は調達年度内に償却しなければ無効になりますが、グリーン電力証書には償却期間がありません。
2点目は調達時期です。非化石証書は年4回のオークションですが、グリーン電力証書はいつでも調達できます。
3点目は金額の決まり方です。非化石証書は全量オークションですが、グリーン電力証書は相対契約にとって決まります。
4点目は電源の指定方法です。非化石証書は個別割当制度で発電事業者と事前に合意する必要があり、グリーン電力証書は相対契約時に指定が可能です。
5点目は消費者訴求マークです。非化石証書にはマーク制度がありませんが、グリーン電力証書にはあります。

グリーン電力証書は貴社に発注してから引き渡しまで、どれくらい時間がかかりますでしょうか?

最短1週間で納品可能です。

炭素賦課金15,000円の例がありましたが、2030年頃の炭素賦課金の予測はあるのでしょうか?

現時点で、政府などが公開しているものはないという認識です。

FIT非化石証書を購入しているのですが、グリーン電力証書へ切り替えた方がいいのでしょうか?メリットはどこにありますか?

グリーン電力証書のメリットは、主に2点あります。1点目は予算化のしやすさです。相対契約により契約単価と調達量を固定することで、市場変動リスクを回避した調達量を見通せます。2点目は電源情報の公開性です。常に電源情報が公開されており電源情報を詳しく閲覧できます。

GHGプロトコルではクレジットは使用できないとのことですが、クレジットの活用事例を教えて下さい。

温対法の定期報告、省エネ法定期報告、GX-ETSなどで使用できます。

グリーン電力証書は脱炭素のアピールとして、ロゴ的なものが使用できるようなものでしょうか。

ロゴの使用が可能です。製品に印字したり、イベント等のパンフレットに印刷したりするなどの用途がございます。

元々、燃料にバイオマスを利用して、既に低CO2の企業が証書を発行できる可能性はあるでしょうか。CO2削減分がないと難しいでしょうか。

可能性はございます。クレジットや証書制度の審査基準に適合する必要がありますので、詳細な検討が必要です。

電力需要と環境価値供給能力の釣り合いのお話に関連して、環境価値 (証書) の価格は市場によって上がっていくのでしょうか?それとも一定程度に収めるという取り決めがあるのでしょうか?

FIT非化石証書には最低と最高の価格制限があります。ただし制限価格は政府によって社会情勢に合わせて変更されてきましたので、今後も変わる可能性があります。

カーボンプライシングは、国内企業すべてを対象とする制度になるでしょうか?

日本国内の制度であるGX-ETSの場合は、全企業ではありません。現在の試行期間においては任意参加となっており、今後対象企業や参加企業の要件を議論していくとされています。海外の事例を見ると、多量排出企業や製造業など、規模と業種により指定される傾向がみられます。

炭素賦課金の上昇に併せて、非化石証書の価格も上がるのでしょう

比例的に上がるかどうかは不明ですが、上がる可能性はあります。なお、炭素賦課金はエネルギー輸入事業者が対象ですので、Scope1の排出量が多い企業が影響を受けやすい制度です。非化石証書はScope2に適用される証書ですので、カーボンクレジットのほうが強く影響される可能性があります。

炭素賦課金の国によるバラツキは、貿易の障壁になると思います。原材料の輸入や商品の輸出のときの対策を教えてください。

排出量取引制度は、国によって制度が異なり、国外からの輸入品に対する適用/不適用などが異なります。輸出入相手国の制度をよく理解するのが大切です。

上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。

ページのトップへ戻る