TNFD取り組みの『壁』を乗り越える! 企業の“現在地”から描く、価値創造への実践ロードマップ ~農林中央金庫・農中総合研究所との共同セミナー~

2025年11月6日 (木)に、オンラインセミナー「TNFD取り組みの『壁』を乗り越える! 企業の“現在地”から描く、価値創造への実践ロードマップ ~農林中央金庫・農中総合研究所との共同セミナー~」を行いました。

開催概要

  • テーマ :TNFD取り組みの『壁』を乗り越える! 企業の“現在地”から描く、価値創造への実践ロードマップ ~農林中央金庫・農中総合研究所との共同セミナー~
  • 開催日時:2025年11月6日(木) 11:00 ~ 12:00
  • 開催方法:オンライン(zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社、共催:農林中央金庫 (企業ホームページ: https://www.nochubank.or.jp/) 、農林中金総合研究所 (企業ホームページ: https://www.nochuri.co.jp/)
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:297

近年、生物多様性の損失が「グローバルリスク」の上位に位置づけられ、「ネイチャーポジティブ」という世界的な目標が共有されるなか、企業には事業活動に伴う自然への負荷を回避・低減し、自然回復に取り組むことが不可欠とされています。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに沿った開示が推奨されていますが、多くの企業担当者が「何から取り組めばよいか分からない」、「社内の理解を得るのが難しい」、「開示によるメリットが分からない」といった課題に直面しています。

本セミナーでは、金融(農林中央金庫・農林中金総合研究所)と技術(八千代エンジニヤリング)のシナジーをいかし、企業のTNFD対応における具体的なプロセスと価値創造への道筋を多角的な視点から解説しました。TNFDアダプターに登録する日本企業が急増するトレンドや、金融市場が企業の自然関連リスク・機会をどう評価しているかといった最新動向に触れながら、参加者の皆さまが自社の状況に合わせた実践的なロードマップを描けるよう支援します。

質疑応答

TCFDとTNFDの統合開示が進んでいますが、一方で分析指標がシングルマテリアリティとダブルマテリアリティで異なっておりTCFDとTNFDは別で開示する企業もいらっしゃると思います。御社としてはどちらを推奨しておりますでしょうか。推奨理由も知りたいです。

TCFDとTNFDは統合的に開示することを推奨しております。気候変動は生態系や自然資本に大きな影響を与え、逆に健全な生態系(森林など)は炭素吸収源として気候変動対策に不可欠です。これらは切り離せない課題であるため、統合的に評価することを推奨しています。ただし、これも企業様の現在地次第だと考えており、最初から統合開示を必ず目指す必要はなく、段階的に成熟度を上げていくことが重要であると考えます。

ツールを用いて出た結果を分析する際、5段階評価のどのレベルから考慮するべきなのか教えていただきたいです。(例えば、VH、Hがない場合、Mだけ考慮すれば良いのか。L、VLについても考慮する必要があるのか)

ENCOREを用いた評価を想定し、回答いたします。セミナーではお伝え出来ませんでしたが、当社ではENCOREの評価結果をそのまま踏襲するのではなく、個社の事業や活動状況、自然資源の活用状況を踏まえ、補正を行っております。その上で、VHあるいはHに着目して評価を行っています。

自社の環境ボランティアなどの活動が生物多様性と繋がる場合、事業活動と紐づけた開示といっていいでしょうか?

環境ボランティア活動が生物多様性の改善に寄与することも多々あると思います。一方で、「TNFDで求められているのは事業やバリューチェーンでの企業活動に伴うリスクや機会があるか?」そのようなリスクや機会に対して、どのようなガバナンスや戦略で臨むのかといったことをステークホルダーに示すことだと認識しています。このため、事業やバリューチェーンと環境ボランティア活動に繋がりがあるのかを示すことが大事であると考えます。

沢山のリスク評価ツールの中から、実態との乖離が少ない指標を選び、リスク評価ツールを使い分けることが正しい分析と考えてよいでしょうか。例えば、Aqueductの洪水リスクの指標には洪水の影響を受けると予想される人口の割合が考慮されているため、人口の少ない地域はリスクが過少評価されていると思われる場合にその指標は分析で使わないなど。

実態との乖離が少ないと想定されるツールや指標を用いることができるのであれば、評価結果の信頼性は高いと判断できます。一方で、多くの企業に採用されていても、実態との乖離が少ないツールや指標のみを使用することができない場合や、乖離の有無を判断できない場合もあるかと思います。このため、ツールはあくまでスクリーニングに用い、アンケートや他の文献などによって結果を補強することが重要と考えてます。

TNFD開示を投資家はどこに着目、どう評価しているのか教えていただきたい。

投資家は企業の自然関連のリスクと機会の財務インパクトなど定量的な情報があると参考になると考えられるが、自然資本・生物多様性の文脈においては定量評価は簡単ではないと感じています。その場合は、それぞれの企業がもつ自然資本・生物多様性に対する考え方をどう自社のビジネスにつなげていき、自社の競争領域での競争優位を作っていくか、といったストーリーを投資家や金融機関に見せていくことが良いのではないかと考えています。そして結果、そのストーリーが評価され株価などにも反映されていくものだと考えます。

上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。

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