水リスク評価の“その先”へ
Aqueduct・Water Risk Filterを活用した実践的な水リスク管理の進め方
2025年10月28日 (火)に、オンラインセミナー「水リスク評価の“その先”へ Aqueduct・Water Risk Filterを活用した実践的な水リスク管理の進め方」を行いました。
開催概要
- テーマ :水リスク評価の“その先”へ
Aqueduct・Water Risk Filterを活用した実践的な水リスク管理の進め方 - 開催日時:2025年10月28日(火)11:00 ~ 11:55
- 開催方法:オンライン(Zoom)
- 主催 :八千代エンジニヤリング株式会社
- 参加費 :無料
- 参加人数:235
水リスク評価ツールとして知られるAqueductとWater Risk Filterは位置情報を入力するだけで世界中の水リスクが5段階で評価される便利なツールです。一方で、「ツールが示す結果の意味がわからない」「評価結果から具体的な対策につなげられない」という声も多く聞かれます。
そこで本セミナーでは、単なるツールの使い方解説にとどまらず、ツールの結果を理解したうえで、その先の「拠点単位での水リスク管理と対策」を具体的に進めるための道筋を明らかにしました。
具体的には、ツールの評価方法や使用データをもとに結果の意味を正しく理解し、その後、より詳細なリスク評価を行うための「拠点へのアンケート」や「流域調査」の方法を具体的な事例を交えて解説します。さらに、水資源管理の国際的なフレームワークであるAWSの活用方法もご紹介しました。
ぜひ、アーカイブ配信をご視聴ください。
質疑応答
ツールがhight だったとして、なぜhight なのですか?情報開示はされていますか?
各ツールのサイトにはメソトロジーが公開されています。そこで各指標の定義やスコアの閾値を確認することができます。
「渇水」と「水資源の枯渇」は同じように見えるのですがどのように分けられるものでしょうか?
「水資源の枯渇」は慢性的なリスクの一つで地域の資源量に対する水消費量の比率で計算されます。一方、「渇水」は急性的なリスクで雨が長期間降らないことにより発生する現象になります。
操業特性というご説明がございました。操業特性という言葉の具体例について、いくつか教えてください。(water intensityも含まれますか?)
操業特性には、取排水量や取排水質、需要施設の位置、被害実績などがあります。またwater intensity(水使用強度)も含めることが可能です。
水目標の設定につきまして、エリアとして設定しているように見えましたが、「エリアに属する他企業との連携が前提になる」ということでしょうか?
水リスクは流域単位で管理、対策していく必要がありますので、流域内の自治体や他社企業と連携して目標を設定、取り組みを推進することが望ましいです。しかしながら、官民連携で目標設定、取り組みを行うには関係者の調整等のハードルが高いため、まずは自社の貢献度を現在の状態と理想の状態のギャップから分析して目標を立てることが重要です。
水ストレス●%という表記がありましたが、この水ストレスのパーセンテージはどこの情報を想定していますか?
水ストレスは、ツールの結果や文献で流域の値を取得することができます。また、水ストレスが高いと判断するための閾値は明確に決まっているわけではありません。セミナーでは参考までにAqueductが設定している閾値の40%以上がリスクが高いと紹介いたしました。
water risk filterの使い方、アクセスの方法を教えてください。
以下のURLからアクセスできます。また使い方についてサイト内でも紹介がありますが、分からない場合は弊社にお気軽にご連絡ください。https://riskfilter.org/water/home
海外のサイトでも同様の評価で進めることができるでしょうか?
海外のサイトでも同様な評価方法で進めることができます。しかし、海外の場合は、国内に比べて地域の情報の取得が難しい場合がありますので、現地担当者や現地自治体に確認することが重要となります。
ツールはどの程度の頻度で更新されるのでしょうか?
ツールの更新はこれまで2~4年のペースで行われていました。今後もTNFDやSBTNに合わせるように不定期で更新される可能性があります。
特定の地点の評価結果についてリスク毎に判定理由が公開されていますか?
特定地点のスコアの根拠となる値は確認することができます。しかし、この値を計算するために使用したインプットデータやパラメータ等の条件は公開されていませんので、参考文献まで遡る必要があります。
サプライヤーの海外工場の実態把握をする際に、国内のように水関連の詳細な情報の入手が難しいように思います。海外サイトにおける実態把握の方法についてTipsがございましたらご教示ください。
サプライヤーの海外サイトの評価で重要なのは、流域の実態把握です。まず、海外サイトの位置情報から、立地する地域の水リスクがあるかを公開情報等から把握します。地域に重大なリスクが確認できた場合は、サプライヤーに水リスクについて報告して海外サイトにおいて水への依存、インパクトがあるのか、リスク対策がとられているかを確認することが重要かと思います。
Aqueductとウォーターフィルターで地域の解像度に相違があるとお伺いしました。 その際、解像度が粗いAquductのほうが評価ツールとして有用となる場合はどういう状況をイメージされているでしょうか?
Aqueductが有用となるケースは、評価する水リスクに対して指標が適切である場合と、拠点が下流に位置しており、water risk filterの解像度では複数の流域にまたがってしまう場合に使用します。また、安全側のリスクを見る観点で、AqueductとWater Risk Filterの双方を用いてよりリスクが高いスコアを適用する場合もあります。
水分析ツールで水ストレスが高く評価されても、近隣に巨大な貯水池があり、水不足による操業停止リスクは低いと判断される場合があります。このケースは「優先度低い」と判断して良いのでしょうか?
地域の実態を把握して、貯水池の影響でリスクが低下している場合は、「優先度が低い」と判断して良いかと思います。なお、開示をする際は貯水池の効果をステークホルダーの意見等を基に優先度が低いといえる根拠とともに開示することを推奨します。
Drought riskは事業影響の評価に使用できますか?
Drought risk(干ばつリスク)は一時的な水量の低下もしくは水使用が停止した時に影響を受ける事業に対して評価に使用することができます。
step2:実態把握について、海外の場合はどのようにアプローチされますか?
海外の場合でも、25と同様に情報を収集し、海外サイトの操業特性を整理するアプローチになります。
海外の実態調査の事例はありますか?
実態調査の事例はあります。海外サイトの水資源量の調査から中国の南水北朝政策やハワイの再生水や海水淡水化政策等の水政策の調査まで行い実態を調査しています。
事業影響額の試算はどのようにするとよいでしょうか?
事業影響額は、実際にリスクが発生した時の被害額やそれに伴う機会損失額等が挙げられます。
Aqueductにて評価した結果リスクがあるとの結果が出たが、実態を確認した結果、リスクは無いとの判断した場合もケースもありなのでしょうか?
実態把握をした結果、リスクはないと判断しても良いかと思います。なお、リスクはないと判断した理由は根拠をもって開示することが必要になります。
水消費量には蒸発も含まれるとの認識でOKでしょうか?
水消費には流域の外に水が移動することになりますので、蒸発も含まれます。
ツールでの評価は本社で行えますが、操業特性や地域の情報を盛り込んでのリスク評価や目標設定は、本社主導で行ってもスムーズに進められるものでしょうか。現地工場が主体となって行う必要があるのでしょうか?
本社で現地工場の操業特性(取水量や被害実績等)を把握しているのであれば、スムーズに進められる可能性はあります。しかし、水リスクの対応は現地工場が対応する可能性が高いため、評価の段階から工場担当者と流域ないの自治体といったステークホルダーと情報を共有し進めていくことが実践的な水リスク管理をする上で重要になるかと思います。
目標設定はエリアごとに現在の状態と健全な状態のGAPで目標を立てるとのことでしたが、定量目標は全社ALLでの時限的な削減目標を定めている例が多いかと思います。今後どちらが求められているのでしょうか?
Alliance for Water stewardship(AWS)やSBTs for Natureでは、流域単位での目標や管理を求めています。また、TNFDフレームワークでも自然への依存・インパクトを評価することが求められており、依存とインパクトは流域単位で評価されることが多いです。そのため、今後は全社的な目標ではなく流域単位の目標が求められます。
需要と資源の比率は低い方が水ストレスが小さいという理解でよろしいですか?
資源量に対して需要量が少ない場合は、水ストレスは小さくなります。
地域特有の情報を収集する方法を教えていただきたいです。
地域特有の情報を収集する方法は以下のような方法があります。また、地域のデータは一般に公開されていない可能性もありますので、ステークホルダーと情報交換をしながら収集する必要があります。<収集方法例>現地調査による収集、国や自治体所有のデータの収集、グローバルで整備されたデータの収集
グローバルツールのストレス評価と実態に乖離があるとご説明がありましたが、全拠点実態調査が求められるのでしょうか?
実態の調査を行う拠点は、優先順位を決めて調査する拠点を決定する、もしくは順番に評価することが求められています。そのため、優先順位を決めた結果、流域リスクおよび事業影響が低い拠点については実態調査をしなくてもよいという判断はできるかと思います。
上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。
