TCFD(気候変動)とTNFD(自然資本)の統合開示の進め方と先進事例の紹介

2026年1月21日(水)に、「TCFD(気候変動)とTNFD(自然資本)の統合開示の進め方と先進事例の紹介」を行いました。

開催概要

  • テーマ :TCFD(気候変動)とTNFD(自然資本)の統合開示の進め方と先進事例の紹介
  • 開催日時:2026年1月21日(水) 11:00 ~ 11:55
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:316

これまでに、国際的なイニシアティブであるTCFDが気候変動、TNFDが自然資本に関するリスクや機会の開示提言を公表しています。そして、企業はサステナビリティ経営推進のために、それぞれの開示に対応してきました。

最近では次の動きとして、両者を統合した「TCFD(気候変動)とTNFD(自然資本)の統合開示」が求められるようになってきています。2025年6月に環境省は統合開示のガイダンスである「環境課題の統合的取組と情報開示に係る手引き」を公表しており、そのなかで「気候変動と自然資本は相互関係性がある」ということを前提として取組・開示を行うことが重要と述べています。そしてすでに、統合開示に取り組む先進企業も存在します。

以上を踏まえ、本セミナーでは、「TCFD(気候変動)とTNFD(自然資本)の統合開示」のメリットや実践的な方法、先行事例を紹介しました。

質疑応答

TCFDのシナリオ分析はシングルマテリアリティ、TNFDのLEAPはダブルマテリアリティの認識ですが、戦略を統合開示しようと思った場合気候変動についてもダブルマテリアリティでの検討が必要なのでしょうか。

結論としましては、戦略の統合開示を行う場合、気候変動についても「ダブルマテリアリティ」の視点で検討・開示することを推奨します。以前は、TCFDでは「気候変動が自社の財務にどう影響するか(シングルマテリアリティ)」を開示することが主流でしたが、2021年にTCFDから発表された「指標、目標、移行計画に関するガイダンス」では気候変動を起こさせないための努力の記載(=移行計画)を求めるようになりました。つまり、TNFDだけでなくTCFDでも、自社が外部環境変化に対してどういった貢献ができるか/影響を与えるかという視点を含めた分析(=ダブルマテリアリティ)が求められるようになってきています。よって、戦略の統合開示を行う場合はダブルマテリアリティで検討し、対応策の環境課題間のトレードオフを考慮することを推奨します。

冒頭の「TCFDとTNFDの統合開示を進める」プロセスにて、アカデミアによる検証が必要とのことでしたが、当該企業の地元の大学等と産学連携をしていく等の事例がありますか?

例えば、サントリーホールディングスでは移行計画における重要な取り組みとして科学的知見に基づいた森林整備および水源涵養の実践として、日本国内工場の水源エリアの良質な地下水を育み、森林と生物多様性を保全・再生する活動である「サントリー 天然水の森」活動を行っています。活動推進にあたっては、サントリーグループ内の水専門研究機関である「水科学研究所」による最新の水文学の知見に基づく調査研究とともに、水、森林、生物、整備、土壌などの研究者や専門家、地元住民の方々と連携し、科学的な根拠に基づいて100年先をも見据えた継続的な活動を展開しています。「ウォーターポジティブ」、「生物多様性の保全」と同時に、「CO2吸収力の高い森林」を森林整備の目標の1つに掲げており、アカデミアの検証が統合開示の信頼性を高めています。

トレードオフ評価をどのように実施すればいいかについて不安があります。これについてのフレームワークはありますか?貴社にてご支援いただくことは可能でしょうか?

トレードオフ評価には、フレームワークはございませんが、アサヒグループホールディングスの「サステナビリティレポート2025」に記載されているように、ENCOREやライフサイクルアセスメント結果をもとに分析している事例がございます。貴社のご要望に合わせた支援を検討いたしますので、お気軽にご連絡ください。

TCFDは開示していますが、TNFDについてはまだの状況です。①いつから開示義務化されるかなど今後の状況を教えて下さい。②既に開示しているTCFDに追加する形で開示するやり方でも問題ないでしょうか。

①明確な時期は公表されておりません。ただし、TNFDの要素がISSBに取り込まれるという観点に着目すると、企業の時価総額規模によりけりですが2027年3月期以降義務化されるのではないかと考えられます。/②TCFDに追加する形での開示で問題ないと考えます。特にガバナンスとリスク管理はTCFDとTNFDで共通する点が多くなっており、統合しやすい項目になっています。一方で、TNFD特有の開示推奨項目など注意すべき箇所もございますので、統合を検討する際はぜひ当社にご相談いただけますと幸いです。

TNFDの開示にあたって、自然共生サイトの支援を検討しています。支援証明書取得前の開示ではどのような開示をすることが好ましいですか?

TNFDの開示推奨項目のうち戦略において「特定した依存・影響・リスク・機会に対応するために実施した具体的な行動」の事例として開示することを推奨いたします。特に、プライオリティ・ロケーション(自社の事業との関連性において評価する場所)に紐づく支援であれば、 TNFDの根拠としてより効果的に用いることが期待できます。

①TCFDとTNFDで統合化すると逆に分かりづらくなるのであれば、別々に開示でもよいという理解でよろしいのでしょうか?②TCFDやTNFDの開示フレームワーク自体の統合化という動きはあるのでしょうか。ご存じであればご教示いただけますと幸いです。

①統合化の判断:統合開示の目的の1つは自社の取組を読み手にわかりやすく伝えることであるため、統合した開示のほうがわかりやすいと判断した場合にのみ統合することを推奨します。ただし、ガバナンスとリスク管理は共通した体制で監督・執行/リスク管理した方が効果的な場合が多いです。/②TCFDやTNFDの開示フレームワーク自体の統合化の動き:TCFDとTNFDのフレームワークについては、現在、国際的なサステナビリティ開示基準を策定するISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の枠組みへの統合が急速に進んでいます。TCFDについては、ISSBがTCFD提言を取り込んだ気候関連開示基準「IFRS S2」を公表しました。これに伴い、TCFD事務局は解散し、その役割をISSBが引き継いでいます。TNFDについては、TNFD独自の追加基準策定作業を停止し、ISSBでの基準策定に一本化することを発表しました。これにより、自然資本に関する国際標準は2027年ごろにISSB基準として完成する予定です。

上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。

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