カーボンニュートラルとは? 意味や必要性、取り組み方法を簡単に解説

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カーボンニュートラルへの動きは、現在、世界的に加速しています。日本でも、2020年に政府がカーボンニュートラル実現を宣言したことで、2050年に向けて各所でさまざまな取り組みが進められるようになりました。しかし、なかにはカーボンニュートラルの概念や必要性、具体的な取り組み方法がわからない方もいるでしょう。

そこでこの記事では「カーボンニュートラルとは」「具体的にどうやって取り組めばよいのか」を簡単に解説します。自社での取り組み方法を検討中の企業さまは、ぜひお役立てください。

カーボンニュートラルとは

一般的な環境用語として広く認知されている「カーボンニュートラル」。カーボンニュートラルに取り組むには、言葉の意味や重視されるようになった背景について、まずきちんと理解しておくことが大切です。

温室効果ガスの排出ゼロを目指す

カーボンニュートラルとは、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ(削減対策を講じてもどうしても削減しきれなかった温室効果ガスについては、人為的に吸収、または除去することで差し引きゼロにする状態)にするという考え方です。

温室効果ガスの排出量は2018年時点で12.4億トンだが、2050年までに排出削減を進め、削減しきれない排出は、吸収・除去によってゼロにすることが目指される

図1. カーボンニュートラルの意味
出典:資源エネルギー庁|「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?

温室効果ガスとは、太陽光で温められた熱を吸収・放出し、地表を温める作用を持つガスの総称であり、地球温暖化の原因の1つと考えられています。温室効果ガスの例として、以下が挙げられます。

  • 二酸化炭素(CO2)
  • 一酸化二窒素(N2O)
  • メタンガス(CH4) など

カーボンニュートラルの必要性

カーボンニュートラルの必要性が叫ばれるようになった背景の1つが、気候変動です。気候変動は、自然災害や生態系、健康、産業・経済活動などに大きな影響を及ぼします。

近年では実際に、国内外で多くの気象災害が発生しています。このまま気候変動が続けば、豪雨や猛暑などの災害によるリスクがますます高まり、地球上にいる生物の生存基盤を揺るがしかねません。カーボンニュートラルは、将来にわたって住み続けられる持続可能な経済社会を目指すうえで必要不可欠な取り組みといえます。

カーボンオフセットとの違い

カーボンニュートラルによく似た単語に「カーボンオフセット」という言葉があります。カーボンオフセットとは、削減が難しい部分の排出を、他の場所での温室効果ガスの削減・吸収活動への投資で相殺するという考え方です。

カーボンオフセットのメリットは、国が認めるJ-クレジット制度を利用すれば、設備投資に多額の資金をかけられない中小企業や個人事業主でも、気軽に温室効果ガスの削減・吸収活動に参加できること。J-クレジット制度とは、二酸化炭素などの吸収量や排出削減量を国が「クレジット」として認証する制度です。J-クレジットの創出者と購入者の双方にメリットが生まれやすく、注目度を高めています。

J-クレジット購入者と創出者のあいだで資金が循環する

図2. J-クレジット制度の仕組み
出典:環境省|J-クレジット制度及びカーボン・オフセットについて

カーボンニュートラル実現への取り組み方法

カーボンニュートラルを実現するには、温室効果ガスの排出量を極限まで削減しつつ、削減できなかった分を人為的に吸収・除去する必要があります。カーボンニュートラル実現への取り組み方法は、主に4つです。

再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーとは、繰り返し活用できるエネルギーのことです。バイオマス発電や風力発電、水力発電、太陽光発電などが再生可能エネルギーに該当します。

化石燃料や火力発電とは異なり、発電時に二酸化炭素の排出を抑えられるため、持続的な利用を実現できるのが特徴です。使用する電力を再生可能エネルギーに由来した電力に切り替える、建物に太陽光発電設備を設置するといった取り組みが企業や家庭で採用されています。

省エネ設備の活用

省エネ設備とは、稼働にエネルギーをあまり使用しない設備のことです。近年では、LED照明機器や空調設備、ボイラー設備、給湯設備など、さまざまな機器・設備での省エネ化が進んでいます。

省エネ設備は少ないエネルギーで機器・設備を動かせるため、温室効果ガスの排出量を大きく削減する効果が期待できます。特にエネルギーの消費量が多いオフィス・工場などでは、使用設備を見直すだけで、エネルギーコストや環境負荷の軽減につなげることが可能です。

省エネ設備と創エネ(太陽光発電システムなど)・蓄エネ設備(蓄電池など)を連携すれば、さらに省エネ効果は高まるでしょう。

植林活動の推進

植林活動とは、伐採跡地などに苗木を植えて人工林を作ることです。植物は、光合成のときに二酸化炭素を吸収して酸素を排出するという特性を持つため、植林活動はカーボンニュートラルの実現に大きく寄与します。

また、二酸化炭素を軽減する以外にも、野生生物の生息地を維持したり土壌侵食を防止したりするなど、期待できる効果はさまざまです。植林もいずれは伐採されるため一時的な対策ととらえられるケースもありますが、植林活動において伐採と再生を繰り返すなかで、炭素の蓄積は着実に増えていく点で高く評価されています。

新技術の活用

カーボンニュートラルに向けて、新技術の導入が急速に進められています。特に注目度が高い新技術は、工場や倉庫などから排出された二酸化炭素を回収して地下に貯留する「CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)」や、貯留した二酸化炭素を資源として活用する「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)」などです。

地球温暖化の原因の1つである二酸化炭素を、回収したりエネルギーとして活用したりすることは、非常に画期的な取り組みです。これらの新技術を導入・活用するうえで解決しなければならない課題も残っていますが、実現すれば、カーボンニュートラルに向けて大きな一歩となります。

すべての企業がカーボンニュートラル・脱炭素経営に取り組むメリット

近年、大企業が自社のサプライチェーンに対してもカーボンニュートラル・脱炭素経営の取り組みを求めており、中小企業もそうした要求への対応が必要です。ここでは大企業だけではなく、中小企業が先行して取り組むと得られるメリットを、環境省の「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック~これから脱炭素化へ取り組む事業者の皆様へ~」をもとに5つ紹介します。

新たなビジネス機会の創出

他社より先行してカーボンニュートラルに取り組めば「先進的な企業」「社会的責任感が強い企業」といったよい印象を与えられる可能性があります。企業のよいイメージが広まれば、取引先からの信頼向上につながるだけでなく、受注獲得・売上拡大を目指すことが可能です。他社との差別化を図れるため、市場競争力の強化も期待できます。

特に製造業やサービス業は、サプライチェーン上にいる企業に対し、カーボンニュートラルへの取り組みを求めるケースも珍しくありません。そういった取引先からの要請に即座に応えられれば、新たなビジネスチャンスが創出する場面で優位性を構築できます。

関連部署を巻き込む

シナリオ分析は幅広い部署の協力が必要となるため、初期の段階で関連部署を巻き込んでおくことが重要です。各部署の巻き込み方としては以下のような方法が有効です。

  • 各部署が気候変動問題を「自分ごと」として認識できるようなストーリーを検討する
  • 経営層が気候変動対策を重点課題と位置づけているといったコミットメントを活用する
  • TCFD提言やシナリオ分析に関する社内の情報発信を強化する

コストの削減

カーボンニュートラルへの取り組みは、長い目で見ればコストの削減につながります。省エネ設備を導入したり、再生可能エネルギーを使った発電方法に切り替えたりすることで、エネルギー効率が高まるためです。

実際に、企業の業種によっては、エネルギー消費の多い設備や従来のプロセスを見直しただけで、光熱費の半分程度を節約できる可能性もあります。

当然、カーボンニュートラルに取り組むにはある程度のイニシャルコストがかかりますが、省エネ設備や再生可能エネルギーを導入すれば、年々高騰する原料の価格変動や供給不安といったリスクにも対応できます。

知名度の向上

カーボンニュートラルへの実現に向けた先進的な取り組みは、メディアからも取り上げられることがあります。企業の知名度や認知度が向上すれば、新たなビジネスパートナーを発掘するチャンスにもつながるでしょう。

また、カーボンニュートラルへの取り組みで実績が評価されると、国や自治体、関係団体などから表彰されるケースもあります。環境や社会課題への取り組みが広く認められることは、企業努力を示し、ステークホルダーからの信頼を高めるきっかけとなります。

優秀な人材の確保

企業が環境保全活動に積極的に取り組む姿勢は、従業員のモチベーションにつながります。「自分は会社の一員として社会貢献に参加している」という誇りを持てるようになるためです。

特に昨今では「サステナブルな会社に就職したい」「社会の課題解決につながる仕事がしたい」と考える求職者が少なくありません。脱炭素経営は、求職者に企業の将来性やブランド性、信頼性を十分にアピールできる大きな取り組みです。企業のネームバリューがなくても、意欲的で優秀な人材を集める効果が期待できます。

資金調達が有利に

カーボンニュートラルへの取り組みは、企業の期待値を測る指標の1つです。実際に、金融機関のなかには、融資の評価基準としてカーボンニュートラルへの取り組みを掲げるケースが増えています。社会問題に積極的に取り組んでいることが、企業の将来性に結び付くためです。

また、同じように投資家からのビジネス機会を得やすくなる可能性もあります。投資家の間では、環境・社会・企業統治を重視した「ESG投資」が注目を集めているからです。カーボンニュートラルへの取り組みは、投資家や金融機関の評価を高めます。好条件で資金調達できれば、事業や会社を成長させるチャンスにもなるでしょう。

企業がカーボンニュートラルへの取り組みを進めるには?

企業がカーボンニュートラルへの取り組みを推進するには、以下のような手順で進めるのが効果的です。

1. 情報の収集

まずは、2050年までにカーボンニュートラルを目指せるよう、情報収集から始めます。単なる情報収集ではなく、時代の潮流を踏まえ、主観的にとらえることが重要です。気候変動対策は、従来CSR活動の一環として行われてきましたが、これからは企業が経営を続けるうえでの重要課題となります。脱炭素経営への取り組みは単なるコスト増加ではなく、成長のチャンスにつながることを意識しておきましょう。

2. 温室効果ガス排出量の算定

カーボンニュートラルを進めるには、自社の温室効果ガス排出量を算定し、把握しておく必要があります。排出量を把握していなければ、どこからどのように温室効果ガスの削減に取り組めばよいかの目途が立たないからです。

また、温室効果ガスを算定する際は、自社だけでなくサプライチェーン全体で排出量を把握することが推奨されています。排出源となる事業活動や設備が明確化すれば、削減ターゲットの特定につなげられるでしょう。

3. 専門家への相談・方針の策定

情報収集と現状把握が完了したら、排出源の特徴を踏まえた削減計画を策定する必要があります。自社に適した取り組みや施策を知るには、他社の事例を参考にするのも有用です。

環境省は、企業の温室効果ガス排出量削減の活動内容や省エネ施策・再エネ施策などの情報を公開しています。こういった情報を確認したり必要に応じて専門家に相談しながら、削減計画を策定し、実行に移しましょう。

(出典)
環境省|脱炭素経営とは
脱酸素ポータル|企業の方へ

まとめ

  • カーボンニュートラルとは、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという考え方である
  • カーボンニュートラルに取り組むには「再生可能エネルギーを導入する」「省エネ設備を活用する」「植林活動を推進する」「新技術を活用する」といった方法がある
  • 企業がカーボンニュートラルに取り組めば「新たなビジネス機会を創出できる」「コストの削減につながる」「資金調達が有利になる」などのメリットを獲得できる

当社は、サステナビリティの専門家として温室効果ガス排出量算定やTCFDに沿ったシナリオ分析など、カーボンニュートラルに向けた企業の取り組みを支援しています。カーボンニュートラルへの取り組みを具体的に進めていきたいご担当者さまは、ぜひ当社のオンラインセミナーやコンサルティングをご活用ください。

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