カーボンニュートラルをめぐる国際社会と日本の取り組み【エネルギー特集①】

catch-img

近年の異常気象やSDGsの広がりによって人々の環境、そしてエネルギーに関する意識が高まってきています。この連載「エネルギー特集」では、カーボンニュートラルやカーボンオフセットなどのキーワードについて改めて振り返ったうえで、各クレジットの紹介、当社が提供しているグリーン電力証書の事例インタビュー、そしてGXリーグの最新情報や次年度政策について情報提供を行っていきます。

第1回は、「カーボンニュートラル」についてです。企業や行政のエネルギー担当者さま、エネルギーに関心のある方はぜひお読みください。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、一言でいうと「GHG排出量を実質ゼロにすること」です。GHGは温室効果ガスを指し、二酸化炭素やメタン、フロンガスなどがあります。

実質ゼロにするためには?

GHG排出を実質ゼロにするためのステップは大きく2つあります。

  1. GHG排出量を減らす
  2. 植林、森林管理などによる吸収量で埋め合わせる

削減しても排出してしまう部分には、吸収することで差引ゼロとすることが求められます。

カーボンニュートラルとカーボンオフセットとの違い

カーボンニュートラルは、削減後の排出量分を自然吸収で埋め合わせるという考え方です。一方で、カーボンオフセットは、削減後の排出量分のクレジット(排出権)を購入するなどにより埋め合わせを行う考え方です。 カーボンオフセットはカーボンニュートラルを達成するための方法の1つとなります。

カーボンオフセットで利用されるクレジットの具体的な種類については、次回ご紹介します。

カーボンニュートラルが注目される背景

なぜカーボンニュートラルが注目されるのでしょうか? それは、地球温暖化による気候変動が主な要因としてあります。2015年に締結されたパリ協定で、気候変動を1.5度未満におさえる努力をする取り決めのもと、各国で目標が定められています。

最近では最高気温の上昇や洪水などを身近に感じたり、身をもって体験する機会も増えていることも要因にあげられます。

日本で注目される背景と目標

2020年10月26日の国会で、当時の菅首相が国内の温暖化ガス排出を2050年までに「実質ゼロ」とする方針を表明。その後、以下2つの目標が策定されました。

  1. 2030年にGHGガス排出量を2013年度比46%削減
  2. 2050年にGHGガス排出量を実質ゼロにする

上記の目標達成に向け、さまざまな制度や法律が制定されています。

(出典)
脱酸素ポータル | カーボンニュートラルとは

日本のGHG削減目標と現状

では、日本のGHG排出削減状況と目標値についてご存じでしょうか。2030年度目標に対する現状の解説と、排出を抑える目的の法律をご紹介します。

2030年目標とGHG排出量状況

日本では、2030年にGHG排出量を7.6億t-CO2に削減するという目標に向けて、2013年以降、排出削減に取り組んでいます(下図参照)。

日本国内の脱炭素へ向けた法律と取り組み

日本国内で脱炭素に向けて制定されている法律についてご紹介します。主に原油換算1500Kℓ以上を利用している特定事業所排出者を対象に、規制のラインが引かれています。いずれも定期報告が必要のため、毎年度ごとの実施状況が問われます。

エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)

目的

エネルギー使用の合理化、電気需要の平準化

対象

原油換算で1,500kl/年以上のエネルギーを使用する事業者

報告

毎年度のエネルギー使用状況を報告

罰則

あり
【例】定期報告書の未提出、虚偽報告→50万円以下の罰金

地球温暖化対策推進法(温対法)

目的

地球温暖化防止、GHG排出抑制

対象

特定排出事業者、特定輸出排出者

報告

毎年度の排出量報告

罰則

あり
【例】報告なし、虚偽報告→20万円以下の罰金

エネルギー供給高度化法

目的

エネルギー供給事業者による非化石エネルギーの利用促進、化石エネルギーの有効利用

対象

小売電気事業者、一般送配電事業者、特定排出事業者のうち、前年度の電気供給量が5億KWh以上の事業

報告

非化石電源比率を2030年に44%以上にすることを目標に定める

罰則

あり
【例】報告なし、虚偽報告→50万円以下の罰金

加えて今後、さらに活発化してくるであろう取り組みは以下の2つです。東京都では2010年より排出量取引の取り組みがスタートしており、GXリーグにおける排出権取引制度も2年後のスタート予定で、2030年を見据えた排出量取引の取り組みがより注目されてくることが期待されます。

排出量取引制度

排出量取引制度とは、自社での超過削減分をクレジットとして他社に販売できる制度です。東京都排出量取引制度やGXETSがあげられます。GXETSは2026年より本格稼働であり、確定していない部分も少なくありません。今後、GXリーグと合わせてご紹介いたします。

GXリーグ

経済産業省がカーボンニュートラルの移行に向けた挑戦を果敢に行い、グローバルなビジネスで勝てる企業群がGXを牽引する枠組みとして、GX(グリーントランスフォーメーション)リーグを設立しました。2024年4月時点で、日本のCO2排出量の5割超を占める企業群が参画しています。

GXリーグやGX推進法について興味のある方は「GX推進法とは? GX推進法の概要、日本の課題やGXリーグについて解説!」もご覧ください。

気候変動関連の国際的イニシアチブ

GHG排出が引き起こす気候変動の動向もカーボンニュートラルを語るうえで重要です。SDGsでも定められているように、持続可能な世界のためには気候変動対策は急務です。世界中の企業が同じ方向を向いて対策をするように、各イニシアチブが取り組みを行っています。

3つのイニシアチブ

最近では、企業の環境貢献によって投資家が投資判断を行うなど、企業側を取り巻く環境も変化しています。日本で対策をしている企業は、上場企業のうちプライム市場を中心に活動が進んでいます。

企業が特に意識している3つのイニシアチブについてご紹介します。

CDP

SBT

RE100

名称

Carbon Disclosure Project

Science-Based Targets initiative

Renewable Energy 100%

運営元

英国慈善団体が管理する非政府組織(NGO)

CDP、国連グローバルコンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)が共同運営

The Climate Group、CDP

目標

投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムの運営

科学的根拠に基づいたGHG削減で気温上昇を1.5℃未満に抑える

事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達する

特徴

気候変動、森林、水セキュリティの3分野について質問書を送付

企業に対し、科学的根拠に基づいた、5~15年という中長期でのGHG削減目標と、達成に向けた行動を要求

電力の再エネ導入促進

公式サイト

https://cdp.net/ja

https://sciencebasedtargets.org/

https://www.there100.org/

企業がイニシアチブを守る理由

国際的イニシアチブへの回答結果は、公表されており株主からの評価につながります。企業の価値を高める手段としても守る必要があります(関連記事「CDPに初回答する方必見! 概要と質問書内容を解説」)。

しかしながら、国際的イニシアチブには罰則が設けられておらず、強制力がないことも課題です。また、参加企業は年々増えていますが、日本の2030年削減目標と合致しておらず、それぞれが異なる目標となるため整理が必要です。

最後に

カーボンニュートラル2050年達成に向けて、近年温度感が高くなってきています。各企業や自治体がそれぞれの指針を定め、達成することが重要です。

当社は、環境・サスティナビリティ全般に関するコンサルティングに加え、環境価値事業、新電力事業、発電事業の3本柱でエネルギー事業も展開しております。環境価値利用のご相談、地域新電力などを中心にご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。

ニュースレター登録

人気記事ランキング

タグ一覧