カーボンオフセットと環境価値クレジット【エネルギー特集②】

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エネルギー連載第2回は、「カーボンオフセット」についてです。カーボンオフセットとは何か、どうすれば達成できるのかを解説します。

企業の担当者さまで、2030年目標は決まったが施策をどうしようかといったお困りごとはないでしょうか。貴社で実践できることはないか、ぜひご参考になさってください。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、一言でいうと「GHG排出量を実質ゼロにすること」です。GHGは温室効果ガスを指し、二酸化炭素やメタン、フロンガスなどがあります。

詳しくは「カーボンニュートラルをめぐる国際社会と日本の取り組み【エネルギー特集①】」をお読みください。

企業のカーボンニュートラルの流れ

カーボンオフセットは、カーボンニュートラルを達成する方法です。企業が、カーボンニュートラルを達成する一般的な流れについてご説明します。

GHG排出量の見える化

まずは、自社の排出量の把握からスタートしましょう。排出量がわからないと具体的な削減を行うことができません。

重油換算1,500kL以上を利用している特定排出事業者に該当する会社では、省エネ法による報告義務があるため、そちらの書類を参考値としてとらえていただければと思います。

GHG排出量削減の徹底・省エネ化

使用燃料の変更や、省エネのための設備導入があります。初期投資費用がネックになります。

再生可能エネルギー導入・再エネ電力プランへの変更

企業の再エネは、太陽光が中心です。工場の屋根の上への設置による自家消費が増えてきています。

都市にあり導入が難しい場合は電気契約の切り替えも有効です。100%再エネプランや、非化石証書利用による実質再エネ100%のプランもあります。

電気の切り替えは簡単に行えますので、専門業者に見積もりを取ることをおすすめします。

GHG排出量の見える化→GHG排出量削減の徹底・省エネ化→再生可能エネルギー導入・再エネ電力プランへの変更→カーボンオフセット

図1. 企業のカーボンニュートラルの流れ

カーボンオフセットと達成手法

カーボンオフセットのためには、まず排出量を知ることからがスタートです。最近では、排出量を見える化するサービスの導入も進んでいます。

では、排出総量を知ったうえで削減はどのような 方法で行えるのでしょうか。カーボンオフセットの方法は3つに分けられます。それぞれ解説していきます。

1. 省エネ

省エネは、電気や使用エネルギー源の削減を行うことで、排出されるGHGガス排出量の削減に努めることが目的です。方法はさまざまありますが、企業様1社1社に合わせた削減が求められます。

一般的な事業所ですと、空調の見直し(高効率化・個別化)や照明LED化が挙げられます。また、使用車をガソリンからEV化とすることで、調達燃料を削減することにもつながり、Scope1として省エネ化とみなすことができます。

2. 再生可能エネルギーの導入・再エネプランへの変更

太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱の5種類が該当します。企業が導入しやすいのは太陽光発電であり、最近ではFIT買取金額の下落と電力高騰により、自家消費や蓄電池との組み合わせに注目が集まっています(※)。そのほかの再エネは設置までに時間と費用がかかりすぎることがネックとなり、一般企業では導入しにくく、太陽光ほど普及が進んでいません。

電力の再エネ化においては、電力契約を切り替えることも可能です。非化石証書を利用した実質再エネプランなどがあります。ただ、環境価値費用分が高くなるため割高になります。

※ 2012年から始まったFIT(固定価格買取制度)買取価格の高さにより、FIT売電を主流として設置が進んできた。最近では、FIT売電単価の低下やウクライナ情勢・夏冬の電力供給のひっ迫による価格高騰により、発電電力の自家消費やPPA事業者による初期費用なしでの設置が増えてきている

3. 環境価値の利用

1.および2.について取り組み、GHG排出総量を削減した後で削減が足りない場合は、環境価値を購入して償却(使用)する流れになります。1.や2.の取り組みは、コスト・時間もかかるため、各社のカーボンニュートラルに向けた時間軸との整合も大事になってきます。

環境価値を購入すると、購入した分の削減をしたとみなすことができるため削減が難しい企業にとっては有効な手段となります。環境価値の種類については、次章でご紹介します。

環境価値の種類

日本国内で取引されているクレジットは大きく分けて以下の4種類です。

  1. J-クレジット
    国の認証制度で、再エネ、省エネ、森林など幅広くクレジット創出できることが特徴。創出には費用負担やモニタリングが必要で、手間と時間がかかることが課題
  2. FIT非化石証書
    FIT(固定価格買取制度)を利用して売電しながら、環境価値のみを証書化したもの
  3. 非FIT非化石証書
    FIT(固定価格買取制度)の買取期間を終了した卒FIT、二酸化炭素を排出しない発電の環境価値を証書化したもの
  4. グリーン電力証書
    民間の証書制度で、再生可能エネルギーの環境価値を証書化できる。購入者がGマークにて利用をPRできることも特徴

このほか、海外のボランタリークレジットを購入して使用することも可能ですが、今回は日本で主要なものをご紹介します。購入には、需要家(企業・個人等)に対するものと、小売電気事業者(供給電力の再エネ化適用・排出係数調整等)に対するものがありますので、適用には注意が必要です。

表1. J-クレジット、非化石証書、グリーン電力証書概要表

J-クレジット

運営主体

経済産業省、環境省、農林水産省
※ 国の認証制度

特徴

t-CO2単位、再エネ発電由来ぶんは価格上昇中

対象

再エネ(発電)、再エネ(熱)、省エネ、森林吸収

購入できる人

需要家

FIT非化石証書

運営主体

低炭素投資促進機構(GIO)

特徴

日本卸電力市場(JEPX)で年4回オークション開催

対象

太陽光、水力、風力、地熱、バイオマス

購入できる人

小売電力事業者、需要家

非FIT非化石証書

運営主体

低炭素投資促進機構(GIO)

特徴

日本卸電力市場(JEPX)で年4回オークション開催

対象

卒FIT電源、大型水力、原子力、ごみ発電(廃プラ)

購入できる人

小売電力事業者、需要家

グリーン電力証書

運営主体

一般財団法人日本品質保証機構(JQA)

特徴

電気の切替を行わなくてもグリーン電力を利用したとみなすことが可能。グリーン電力マークを利用できる

対象

太陽光、水力、風力、地熱、バイオマス

購入できる人

需要家

環境クレジットには幅広い活用方法があります。

  • イベント(展示会やおまつり)
  • 企業の1商品の生産ラインでのみ
  • 工事現場
  • 旅行(環境配慮型旅行) など

※ クレジットによっては不可なものもあります

会社全体に使用することでのブランディングもありますが、できる部分から着手し、社内外へPRしていくのはいかがでしょうか。

(出典)
J-クレジット制度 | J-クレジット制度について
資源エネルギー庁 | 非化石価値取引について

J-クレジット、非化石証書、グリーン電力証書の比較

取引概要と企業が購入する際に重視されるイニシアチブ・国内法の対応可否を下表でまとめています。自社が達成すべき目標に合致した環境価値を選び、用途に合わせて併用しながら進めることが大切です。

また、調達には市場調達と相対調達(個別合意契約、ECサイト調達)などがあります。特に市場は証書・クレジットによって異なりますし、複数市場を持つものもありますので、事前に特徴を見極めておくことが重要です。

表2. グリーン電力証書、J-クレジット、非化石証書の比較表

グリーン電力証書・J-クレジット・FIT非化石・非FIT非化石の、取引、報告活用可否、Scope1,2への適用を比較した表

※1 非化石証書は電力取引とセットでの取引となる場合
※2 RE100の適用にはトラッキング付であることが必要

現状は在庫量に対して購入量が少ないため、環境価値の価格は落ちついています。ですが、2030年が近くなるにつれ、環境適応せざるを得ない企業が増え需要は増してくると想定できます。需要が増すと、市場取引の価格は今の数倍になることも想定され今は高くても長期を見据えた相対取引を行うことも選択の1つかもしれません。

いずれにしても、環境配慮のキーワードは今後ますます注目されていくことから早期の対応が求められています。

(出典)
J-クレジット制度 | J-クレジット制度について

最後に

企業の脱炭素化において、クレジット利用・排出量取引は最終手段となります。総排出量をどこまで下げられるかによって、負担も変わりますので場当たり的な対応ではなく長期的な実施目標を実現していただければと思います。

当社は、環境価値事業、新電力事業、発電事業を行っています。環境価値利用のご相談、地域新電力などを中心にご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。小ロットからの購入も受け付けております。

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