海洋プラスチック問題への取り組み

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海洋プラスチック汚染問題は、メディアでも注目されており、カメが漁網に絡まる画像やクジラの胃袋から大量のプラごみが見つかるなど、世界的な環境問題として認識されています。G20の「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」では、2050年までに追加的なプラスチック汚染をゼロとすることが共有され、SDGs目標14“海の豊かさを守る”の指標としても浮遊プラスチックゴミの密度が含まれます。

この記事では、国内の海洋プラスチック問題について概観します。

マイクロプラスチックとマクロプラスチック

国内では、5mmより⼩さいものがマイクロプラスチック、それよりも⼤きいものがマクロプラスチックと呼ばれることが多いです。プラスチックごみは紫外線等の外力により劣化し、マイクロサイズになり、一度海洋へ排出されてしまうと、その大きさから回収する事は困難となります。

プラスチックはPCBsやDDT等の有害化学物質を吸着し、広域に拡散し、生物が摂取することによる生態系の影響が懸念されており、世界中の研究者等がその実態や対応策について検討されています。

日本のプラスチック排出量

海域へ排出される海洋ごみの多くは陸域から河川経由で輸送される事が知られています。そのため、陸域でのプラごみ削減対策を実施することが必要です。

日本からは、東京・大阪・名古屋・福岡などの都市部から、多くのプラスチックごみが海域へ排出されていることが示されています(Nihei et al., 2020)。また、一級河川別で集計した場合、流域面積が大きい河川や人口密度が高い都市部を流れる河川にて、プラスチックごみの排出量が多い傾向が見られます(吉田ほか, 2020)。

水系ごとの総プラスチック量。利根川水系、信濃川水系が特に多い

図1.一級水系毎に年間排出される総プラスチック量(各水系の中央値を記載)
出典:全国一級水系から海へ排出される総プラスチック量の算定

プラスチック排出量の実態把握

当社は、プラスチック排出量の実態把握のために、学校法人東京理科大学理工学部土木工学科・二瓶泰雄教授と片岡智哉助教(現 愛媛大学准教授)との研究成果を適用した、川ごみ輸送量計測ソフトウェアの「RIAD(River Image Analysis for Debris transport)」を製品化し、2021年より販売しています。IPカメラなどにより河川水表面を撮影し、得られた動画データを用いた画像解析により、人工系・自然系ごみを抽出し、その輸送量を算定します。

従来は河川ごみを直接採取していましたが、課題であった安全性や確実性を解消できるシステムです。清掃活動などのごみ削減対策や河川・海洋管理費を把握するためにも有効なシステムです。

「RIAD(River Image Analysis for Debris transport)」のロゴ

図2. 「RIAD(River Image Analysis for Debris transport)」のロゴ

プラスチックごみの発生源について

陸から河川に流れ込むごみのメカニズムの解析例として、河川流域におけるごみは、「投棄・ポイ捨て系」「漏洩系」に大別されます(日本財団, 2020)。

その原因としては、生活が苦しく優良指定ごみ袋を買えずに川に捨ててしまったり、自治体が決めたごみの回収時間と生活サイクルが合わずに収集場所に放置し、それをカラスが突いて散乱させてしまったりするといった、社会的な問題や産業構造等が原因である事が示されています。ごみが適切に管理されていない状況は、環境面や衛生面にも影響を及ぼします。

CDPのテーマとしての「プラスチック」

現在は気候変動・水・森林をテーマとしているCDPが、2024年頃から「海洋」にもテーマを拡げ、水産資源やプラスチック汚染など海洋に関する全領域をカバーする予定で、農業・水産業セクターを回答企業に追加する予定と公表されました(藤田, 2021)。

ESG投資の関心の高まりから、多数の企業が対応している中で、質問の内容については、バイオプラスチック素材の使用、資源循環への取組、清掃活動への参加など、幅広く想定されます。

最後に

プラスチック問題において、重要な視点を以下に示します。

  • 都市部からプラスチックの排出量が多い
  • 河川に流れ込むごみの原因としては、「社会的な問題」や「産業構造」などがある
  • CDPのテーマとしても2024年頃から「プラスチック」が対象となる

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