流域とは?水リスクを考える基礎知識を解説!
はじめに
近年、気候変動の影響により、渇水や水不足、それに伴う断水や水の価格の上昇、洪水などの水害といったさまざまな「水リスク」が、企業活動に影響を及ぼしています。こうした水リスクを考える際に、重要な視点となるのが「流域(りゅういき)」です。今回は流域について解説し、企業が水リスクへの対応策を検討する際に、流域単位で考える必要性を確認します。
流域とは
流域とは、降った雨や溶けた雪が地表を流れ、地形によって集まる特定の範囲や領域のことを指します。同じ流域内には、本川、支川(本川に合流する川)、派川(本川から分かれる川)、さらにはこれらに関連する湖沼なども含まれます。また各流域の境界は、流域界(または分水界)と呼び、一般的には山の尾根(谷と谷に挟まれた山地の一番高い部分の連なり)に該当します。つまり、流域は人間が任意に設定した「行政区」とは異なり、自然の地形に基づいた区分けとなります。
図 流域イメージ図 出典:河川用語集~川のことば~「流域(りゅういき)」
(https://www.nilim.go.jp/lab/rcg/newhp/yougo/words/096/096.html)
流域における水の流れ
流域内に降った雨や雪は地上を流れて川となったり、土壌に浸透して地下水となったりします。そして、人工的に水路を経由して生活用水や工業用水として利用され、最終的には海に流れていきます。自然とのつながりがあります。
そのため、山林の荒廃や人工廃棄物の投棄は、流域内の水質に影響を及ぼします。
これまで緑地だった場所が開発されてコンクリートになった場合、以前は土壌に浸透していた量の雨水が、直接河川に流れ込むことになります。河川がこれまで以上の雨水を一度に受け入れ、許容量を超えてしまうと、下流での洪水を誘発する可能性もあります。
図 流域における水の流れ 出典:内閣官房水循環政策本部事務局「水循環とは!?」
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/mizu_junkan/index.html)
企業が流域単位で考える必要性
近年、日本では豪雨被害が頻発し、気候変動の影響による水害のさらなる頻発化・激甚化が懸念されています。流域の水リスクを自社のBCP(事業継続計画)に反映させ、災害時の対応・操業停止・事業利益損失を最小限に抑える取り組みを行う必要があります。
流域という視点を持たずに水リスクの評価を行った場合、周辺で発生した洪水や干ばつなどが適切なを講じることができません。したがって、流域の視点を持つことは、水リスクの評価と対策の実施において非常に重要です。
企業が抱える水リスク評価の課題と当社サービスの紹介
多くの企業では、自社の拠点が操業する地域の水リスクを「Aqueduct」というグローバルツールで評価しています。しかし、この「Aqueduct」は、全世界を一律で評価できるものの、日本国内などの詳細なスケールで見ると、正確な流域範囲で評価できていないという課題があります。
そのため、企業は水リスクに対してより適切な水関連の対応策を実施するためには、「Aqueduct」での概略の評価だけでなく、正確な流域範囲での詳細な評価が重要となります。
当社では、企業が操業する地域の流域を正確に設定し、水リスクをより詳細に評価するサービスを提供しています。「水リスクに対して適切な対策を実施したい」、「水リスクへの対応に不安を感じている」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。
図 Aqueductの評価範囲(左図)と一級河川の流域範囲(右図)
まとめ
- 流域とは、降った雨や溶けた雪が地表を流れてその地形により集まる、特定の範囲や領域のこと
- 安全な水の確保や管理には、水道システムだけでなく流域単位でが不可欠である
- 水リスクが顕在化した時の影響は、流域全体におよぶケースが多い
- 企業は持続可能な事業活動を行うために、水リスクの影響がおよぶ流域で水リスク対策を行うことが重要である
お問い合わせ
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
専門スタッフが不明点についてご説明いたします。