【CDP登壇】ネイチャーSBTsの最新動向と目標設定の「加速化」手法

2026年3月4日(水)に、「【CDP登壇】ネイチャーSBTsの最新動向と目標設定の「加速化」手法」を行いました。

開催概要

  • テーマ :【CDP登壇】ネイチャーSBTsの最新動向と目標設定の「加速化」手法
  • 開催日時:2026年3月4日(水) 14:00 ~ 15:15
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社
  • 参加費 :無料(500名限定)
  • 参加人数:459

気候変動に続き、TNFDなどの自然資本に関する情報開示への要請が急速に高まっています。そのなかで、科学的根拠に基づいた自然関連の目標フレームワーク「SBTs for Nature(ネイチャーSBTs)」への注目が集まっていますが、多くの企業担当者様からは「何から手をつければよいかわからない」「評価やデータ収集の負荷が高く、目標設定までたどり着けない」といったお悩みをよく伺います。

本セミナーでは、CDP Worldwide-Japanの角田様をお招きし、自然関連開示のグローバルな最新動向や、企業に目標設定を促すキャンペーン「Step up for nature」について解説いただきました。また、八千代エンジニヤリングからは、ネイチャーSBTsの初期段階から関わってきた知見をもとに、まずは目標設定に至る具体的なプロセスをステップごとに分かりやすく解説しました。そのうえで、実務を進めるなかで多くの企業が直面する課題への解決策として、新たなアプローチである「加速化経路」について事例と併せて詳しくご紹介しました。

これからネイチャーSBTsに取り組む企業様や、自然関連の目標設定を加速させたいご担当者様に最適なセミナーです。

質疑応答

①CDPのスコアリングについて。CDPフォレストや水において、ネイチャーSBTsの目標設定を行っていないを選択肢にチェックを付けると、評価や点数が下がるのでしょうか。(=選択肢にチェックを付けられれば、評価・点数が上がるのでしょうか)

2026年質問書のスコアリング基準は4月以降に公表予定となっており、現時点でスコアリング基準の内容は明らかになっておりません。なお、CDP質問書の慣例としては、新しい質問が入った場合、同年に同質問への回答が重要な採点対象となることは少ない傾向です。

②気候変動のSBTと同じように生物多様性のSBT認証があるという理解でよろしかったでしょうか、。

ネイチャーSBTsは、気候変動SBTのネイチャー版として扱われています。但し、ネイチャーSBTsのアプローチにおいては、生物多様性は、各ステップや各領域で評価されるべきものとなっており、生物多様性認証・認定を提供するものではありません。

③CDP回答でSBTNに基づく目標設定が評価されるとのことですが、スコアリングに反映されるのはいつ頃となるのでしょうか。

上述①の質問への回答をご参照ください。

④TNFDとネイチャーSBTsの立ち位置はどのようなイメージでしょうか?TNFDを開示を第一に進める必要があると考えておりましたが、先ほどのお話も伺っていると後者のほうもやっていく必要があるかと思い、連動しているのか、全く別なのか等も教えてくださると幸いです。

TNFDの開示提言の項目の一つに、測定指標・ターゲットがあり、これを設定するための追加ガイダンスとして、LEAPアプローチが提供されています。このLEAPアプローチとネイチャーSBTsは、(スライド10でご紹介したとおり)重なる部分があります。また、(スライド11でご紹介したとおり)ネイチャーSBTsは、TNFDにおける目標設定部分のベストプラクティスとされていることから、既に企業がTNFD対応を進めている場合、その内容によっては、ネイチャーSBTsの一部を既に実施している可能性があります。

⑤マテリアリティスクリーニングツールでやっていることはENCOREのようなものと見受けられましたが、どういった違いがあるのでしょうか?また、精度の差もあるのでしょうか?

マテリアリティスクリーニングツール(MST)は、ENCORE(2018~2023年版)のデータに基づいて作成されているため、基本的には同様のものとなります。ただし、機能や表記においていくつかの違いがございます。ENCOREが自然への「依存」と「インパクト」の両方を5段階で評価するのに対し、MSTは「インパクト」のみを評価対象とし、ENCOREの評価結果を踏まえて事業にとって重要(マテリアル)とみなされるものが「1」と評価されます。また、MSTでは直接操業の活動を選択することで、上流に該当する事業の特定まで行える点も特徴です。

⑥土地:自然生態系転換なしの目標 における「自然地」の定義は原生自然(手つかず)という意味でしょうか?

ネイチャーSBTsでは、2020 年時点で生態学的機能が比較的乱されていない生態系で期待されるものと同等か、十分に類似した状態を維持している地域を自然地とみなしています。これには、二次林や半自然放牧地などが含まれます。一方で、非自然地には、単一作物の農業地帯、森林植林地、都市部など、生態学的機能が大幅に変更されたその他のすべての地域が含まれます。

⑦目標の認定は、段階的なアプローチ(小さな/限定的な目標についてまずは認定を受ける等)が可能でしょうか?

目標の認定は、「加速化経路」を適用することで、段階的にアプローチすることが可能です。これにより、企業全体や全領域を対象とするのではなく、「事業部門」「環境領域」「バリューチェーンセグメント」の観点から、対象範囲を絞り込んで、評価と目標設定を進めることができます。また、淡水の目標では、最優先サイトとなった1つの流域から認定を取得することも可能となっております。

⑧△△流域の△には、例えばどんな言葉が入るのですか。(河川名?)

基本的には「利根川流域」や「淀川流域」といった河川の名前が入ります。ただし、その流域がどこまでの範囲を含むかについては、目標設定に使用する「水文モデル」の解像度によって設定されます。

⑨今後取水量の目標を立案する際などは、「△△流域・・・」と開示したほうが良いのでしょうか。

ネイチャーSBTsでは、特定の場所と紐づいた目標を設定することが想定されています。また、今後取り組みを進めるうえでも、個別の拠点単体ではなく流域全体でのアプローチが求められます。そのため、「△△流域」といった流域スケールの目標を設定されることは、ネイチャーSBTsの意図に沿った1つの方法として考えられます。

⑩SBTN目標では、SBTiの1.5℃レベルなどの野心レベルがあるのでしょうか?

ネイチャーSBTsでは、SBTiのように複数の野心レベル(1.5℃水準やWB2℃水準など)から選択する仕組みはありませんが、代わりに土地目標における「遅くとも2020年をカットオフ日とした自然生態系の転換なし」のような、単一の野心レベルが設定されています。なお、SBTNの手法に基づいて算出された目標値に対し、自社の事業リスクの軽減などを目的として、企業独自の判断で「より野心的な目標(さらに厳しい削減率など)」を設定していただくことは認められております。

⑪ネイチャーSBTsの淡水目標設定について、ネイチャーSBTsやAWSが掲げるように、流域保全の考え方に沿った水目標設定(工場)を検討しています。しかし、水依存がそこまで高くない業界でもあるので、ネイチャーSBTs認定取得までは考えていません。ステップ3だけを参照しながら、これに沿って水目標設定をするというのは有りなのでしょうか。

認定を取得せず、ステップ3の手法のみを参照して自主的な水目標を設定することは全く問題ありません。ただし、正式なプロセスを経ていないため、「ネイチャーSBTs認定目標」として公開することはできず、あくまでも「ネイチャーSBTsの手法に沿った目標」という位置づけになる点にご留意ください。また、客観的に「水への影響が高くないこと」を確認・提示するためにも、可能であればステップ1a(マテリアリティスクリーニング)をご活用いただき、全社的なスクリーニングを実施されることを推奨いたします。

⑫日本はグローバルにみて取水量削減を求められないエリアに該当するとのことですが、事業が淡水に依存する場合、リスクを軽減する目的で取水量削減を目標にすることは妥当でしょうか?

事業リスク軽減のために取水量削減目標を設定することは妥当です。ただしネイチャーSBTsでは、解像度の粗いグローバルモデルを適用する前に、より精度の高いローカルモデルの適用を試みることが必須とされています 。これは、グローバルモデルで削減率0.0%の地域でも、ローカルモデルでは削減が必要とされるケースがあるためです。したがって、まずはローカルモデルの適用を試みたうえで、ローカルモデルが適用できず、結果的にグローバルモデル(削減率0.0%)を適用する場合は、自社のより野心的な目標として独自の削減率を設定していただくことを推奨いたいます。

⑬加速化経路で対象を絞り込んで認定を受けたとしても、ゆくゆくは一定期間後に包括的な対応が要求されるのでしょうか。

加速化経路で対象を絞り込んだ企業については、将来的に目標のカバー範囲を拡大するため、追加の事業部門等について新たなステップ1bおよびステップ2を完了することが求められます。ただし、現時点では拡大すべき期限等については定められておりません。

⑭加速化手法のご説明の中で、淡水・海水・土地の分類をお示しいただきましたが、「大気」は無いのでしょうか

「大気汚染物質」については、ステップ1aのマテリアリティスクリーニングにおいて任意で評価に含めることは可能ですが、ネイチャーSBTsが定める必須の圧力カテゴリには含まれておりません 。そのため、以降のステップの対象からは外れ、現在のネイチャーSBTsのフレームワークでは目標設定の対象外となっております。

上記以外のセミナーを開催していますので
ぜひお気軽にご参加ください。

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