LINEヤフー株式会社
支援事例

「流域」だからこそ意味がある。
IT企業がこだわった「森林探し」の舞台裏

LINEヤフー株式会社でサステナビリティを担当する小南晃雅さまと、同社を支援したサステナビリティNaviコンサルタントの吉田広人および霜山竣

中央:LINEヤフー株式会社 小南晃雅さま
左:当社コンサルタント 吉田広人
右:当社コンサルタント 霜山竣

LINEヤフー株式会社

事業部名:サステナビリティ推進CBU ESGユニット
担当者:小南晃雅さま
業種:情報通信
従業員数:11,035人

相談の背景
TNFD開示に向けてLEAP分析を実施した結果、水資源への依存を認識したものの、具体的な施策は定まっていなかった

導入の決め手
水資源の保全や評価に関する高い見識と技術力がある

支援の効果
水源涵養に向けて保全対象の森林を決定し、具体的な取り組みについて森林組合と協定を締結できた

「拠点単位のリスク評価」を終え、ネクストアクションは?

―― 当社にご依頼いただく前は、どのような課題がありましたか?

小南 環境データの報告を毎年行っていたため、自社の水使用量が多いことには気づいていました。そこで、TNFD開示に向けたLEAP分析(※)を本格的に実施したところ、水に関してどのようなリスクや機会があるか、どの拠点でリスクが高いかが明確になったのです。水の使用量を減らすだけでなく、水資源を守り涵養することにまで踏み込む必要があると認識しました。

※ 自然資本への依存関係や、自然に関するリスクや機会を明らかにするための、TNFDが推奨する評価手法

―― 数あるコンサルティング会社から、なぜ当社を選んでくださったのでしょうか。

小南 最初は相談というより、セミナーや森林活動の場での立ち話からでしたね。私たちが「水を『つくる』活動に取り組みたい」と御社に話したところ、「水の地図」という独自の手法で水源涵養量を測定できると教えていただきました。

そこから詳しい説明を受けることになり、高い技術をお持ちだと感じたため、御社に依頼する運びとなりました。

LINEヤフー株式会社の小南晃雅さま

―― 当社サービスのどのような点にご満足いただけましたか?

小南 一番は「具体が定まったこと」ですね。水資源の保全を、どのような方法・規模・期間で行うべきか、御社に相談するなかで見えてきました。

最初は、河川環境を改善するべきか、雨水浸透ます(※)を大量に設置すればよいのかと考えが拡散していましたが、コストや時間軸、インパクトの大きさを踏まえ、「やはり森を整備するのが最善」という結論に至ることができました。

費用の相場感に精通されている点も、非常に心強かったです。水源涵養のプロジェクトにどの程度の資金が必要なのか、私たちには想像が難しかったのですが、適切な規模感で施策案を提示してくれました。

そして最終的に、御社の提携先である農林中央金庫を経由して実務のパートナーとなる森林組合とつながり、協定を結ぶことができました。プロジェクト全体を通して、非常に心強く支えていただいたと感じています。

※ 雨水を溜め、地中へ徐々に浸透させる設備。地下水の涵養効果をもつ

既存の枠組みに縛られない、能動的な森林探し

LINEヤフーを支援した、サステナビリティNaviコンサルタントの霜山竣

―― 今回のプロジェクトは、どのような点で画期的でしたか?

霜山 「御社の拠点が依存している水資源の保全につながるか」という観点で最適な森林を探し出し、森林組合と協議したうえで、保全計画をゼロベースで作り上げた点です。

「自社拠点で多くの水を使用しているから、その分の水を涵養したい」と考えたとき、重要なのは、拠点と同じ流域内で涵養することです。流域が異なる場合、水源が異なるわけですから、自社で使用した分の水を「還元している」とは言えません。そのため、森林保全による水源涵養に取り組む場合は、「どこが流域なのか」を明らかにしたうえで、保全活動に適した森林を探し、地権者と交渉する必要があります。

今回は福岡県と福島県の対象流域で自治体にアプローチしましたが、条件に合致するパートナーがなかなか見つかりませんでした。そこで農林中央金庫の協力を仰ぎ、森林組合へのアプローチも進めた結果、福岡県広域森林組合および西白河地方森林組合と協定を結ぶことができました。どちらも、水を使用している御社のデータセンターと同じ流域です。

吉田 関東近郊であれば「森づくり」支援制度が比較的充実しており、企業の受け入れ体制が整っている自治体が多いのですが、地方では珍しい場合があります。森林組合の方々には、なぜ企業が社有地以外で森林保全に取り組むのか説明するところから始めました

丁寧に対話を重ね、森林組合側の「森林を整備したいが予算や人員が足りない」という課題と、御社側の「森林を保全して水源を涵養したい」というニーズを合致させることができました。結果として、地元が真に求めている活動を企業がサポートするという、理想的な「ウィン・ウィンの関係」を構築できたと感じています。

霜山 企業の森林保全活動は、自治体が用意している制度を利用することも多いですが、企業側の要望が既存の枠組みに合わない場合もあります。今回のプロジェクトでは、全くゼロの状態から交渉し、双方が納得する形を作り上げることができました。

LINEヤフーを支援したサステナビリティNaviコンサルタントの吉田広人

小南 森林組合の方々にとっては突然の話だったはずですが、耳を傾けてくださってありがたく思っています。

TNFD開示の枠組みが整備されたこともあり、サステナビリティ活動の説明にも科学的な根拠が求められています。我々の拠点が依存している水資源を保全するため、同じ流域内で森林を見つけられたのは本当に喜ばしいことです。

当初はなかなか見つけられず、もはや隣の流域で探すしかないという事態にもなりそうだったのですが、最後まで御社が頑張ってくださいました。妥協せずによかったと強く感じています。

―― ほかにはどのような工夫がありましたか?

小南 今回のプロジェクトを社外に発信するにあたり、「どう表現するか」も相談させていただきました。我々が森林保全に関わることで生まれる効果を、科学的な正確さをもって説明できるよう腐心しました。

霜山 水資源保全という目的のために森林保全という手段を選び、長期の計画を立て、客観的・定量的な評価を行う点で、御社の取り組みは特に優れていると感じます。

吉田 企業による森林保全活動自体は珍しいものではありませんが、水源涵養の施策として発信するには、科学的な根拠が必要です。植樹を一度するだけでなく、定期的に下草を刈ったり、間伐を行ったりしなければなりません。「自社で使用した水資源を還元するため、同じ流域にあるこの森林で、このような計画で活動します」と説得力をもって語れる企業は、まだまだ貴重な存在です。

環境保全に取り組み、成功事例を発信する責任がある

―― 今回の取り組みを社外で発信したあと、大きな反響がありましたね。

小南 新聞やWebメディアなど、多くの媒体で取り上げていただけました。ほかの企業の方からも、詳しく聞きたいと問い合わせを受けたり、お褒めの言葉をもらったりしています。

IT企業がこうした活動を推進することが、新鮮な驚きをもって受け止められたようです。製造業ではない私たちが、自然資本のリスクを直視して具体的アクションにつなげたことで、インパクトを生み出せたのかもしれません。

我々はメディア事業を持つ会社でもありますので、こうした成功事例を適切に発信して「みんなで取り組もう」という空気を醸成することも重要な役割だと思っています。環境保全については、「よい取り組み」を「みんな」がやることで初めて充分な効果が出るはずです。それが実現できるよう、情報発信する責任が我々にはあるととらえています。

―― 水資源保全に関しては、ほかにどのような取り組みをされていますか?

小南 拠点における節水のため、設備投資を常に行っています。水源涵養だけでなく、水を効率的に使うことで、そもそもの水使用量を削減しています。

サステナビリティに関する社員教育も、力を入れている部分です。いわゆるeラーニングに加え、現場に足を運んでの植樹や下草刈り、生物多様性調査など、体験型の研修も行っています。

―― 今後の展望について教えてください。

小南 水資源保全は、1社だけで取り組んでも限界があります。流域ステークホルダーの方々と対話を深めていきたいですね。森林組合の方々は地域に強力なネットワークをお持ちですので、新たな取り組みもご相談させていただければと思っています。

―― 水資源保全や森林保全を検討している企業へのメッセージをお願いします。

小南 まずは「立ち話」からでもいいので、軽い相談から始めてみてはいかがでしょうか。いきなり詳細なLEAP分析や戦略立案を行う必要はなく、「自社は多くの水を使っているかもしれない」と気づいた時点で、「何かできないだろうか」という素朴な疑問や課題感を専門家にぶつけてみること。そこから少しずつ道が作られていくはずです。

吉田 森林保全活動は、一見するとビジネスとの関係性が強くは感じられず、資金投入をためらう企業が多いかもしれません。しかし科学的に分析すれば、企業の持続可能性に直結する重要な基盤であることが見えてきます。

霜山 当社は、地形や地質、気象データなどから土地の水源涵養能力を測定する技術を持っており、森林保全活動の効果を科学的に説明するサポートをしています。森林保全活動の成果をアピールしたい方、水資源保全のために何か行動したいと感じている方は、お気軽にご相談ください。

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