AWS(Alliance for Water Stewardship)
国際ウォーター・スチュワードシップ規格バージョン3.0の変更点と流域視点での水管理の必要性

OUTLINE

セミナー内容

AWS(Alliance for Water Stewardship)国際ウォーター・スチュワードシップ規格バージョン3.0の変更点と流域視点での水管理の必要性 セミナーの申込はこちら

水資源は、地球上のあらゆる生命にとって、そしてすべての企業にとって必要不可欠です。
世界の水資源は気候変動や人為的な取水、インフラへの投資不足、大陸規模の乾燥化など、多くの課題に直面しています。日本においても、記録的な猛暑や豪雨といった極端な気象現象、渇水などが顕在化しており、水資源との向き合い方を見直す必要が生じています。

スチュワードシップとは、自分が所有していないものに対して責任を持つことを意味します。
ウォーター・スチュワードシップの場合、それは私たち全員が依存する有限の自然資源を大切にすることです。持続可能な操業に向けて、多様化する水の課題を解決していくためには、自社サイトだけではなく流域のステークホルダーと協働するウォーター・スチュワードシップを推進していくことが求められます。

2026年3月に更新されたAWS国際ウォーター・スチュワードシップ規格バージョン3.0では、現場での実用性を高めるために要求事項の統合や最新のサステナビリティ動向が反映されました。

  • 気候変動への回復力:将来の気候傾向を把握し、リスク対策を計画に組み込む要件を新設
  • 生物多様性の保全:「健全な淡水生態系とその生物多様性」要素が明記され、保全・復元への貢献を明確化
  • インパクトと依存(ダブルマテリアリティ):自社の水利用による影響と依存度の特定をリスク把握の必須条件に
  • 国際基準との整合性:CSRD(ESRS E3)やCDPなどの開示枠組みとの互換性を向上

本セミナーでは、バージョン2.0との主要な変更点を解説し、企業における最新の水管理動向を紹介します。
また、拠点におけるAWS認証の取得あるいはAWSに沿った水資源管理を推進するうえでのポイントを解説します。

会場:オンライン(Zoom)
開催日時:2026年5月27日(水) 11:00~11:55
登壇者:八千代エンジニヤリング株式会社 吉田 広人・小西 拓海

WHO IS THIS SEMINAR FOR?

こんな方におすすめ

  • AWSの認証取得を考えている
  • 流域のステークホルダーと連携した取り組みを推進したい
  • AWSの基本や全体像を知りたい
  • 最新かつ世界標準の水資源管理をキャッチアップしたい

登壇者

八千代エンジニヤリング コンサルタント:吉田 広人

八千代エンジニヤリング株式会社                             事業開発本部 サステナビリティサービス部 マネージャー 吉田 広人                               

入社後、国土交通省など官公庁向けのコンサルティング業務に従事。
現在は、民間企業向けサステナビリティコンサルティング事業の統括を行う。水資源に関する戦略策定、リスク調査を中心にチームをリードするほか、気候変動、生物多様性、資源循環業務についても豊富な経験を有する。

<保有資格> 技術士(応用理学、建設、総合技術監理)/ AWS Professional Credentialing Specialist / 経営学修士(MBA)

<その他> 日本地下水学会 理事

八千代エンジニヤリング コンサルタント:小西 拓海

八千代エンジニヤリング株式会社                             事業開発本部 サステナビリティサービス部 コンサルタント 小西 拓海                               

入社後、国土交通省など官公庁向けに災害リスク調査や地下水資源評価などに従事。
現在は、水リスク評価やTNFDなど企業のサステナビリティコンサルティングに従事。

<保有資格>技術士(応用理学)、地質調査技師、AWS Professional Credentialing Specialist

セミナー当日のご質問とご回答

Q.

なぜAWS Standard Ver3.0の正式ローンチの場所が東京になったのですか?

A.

1つは、2025年にJWS(Japan Water Stewardship)が発足し、世界的にも着目されている地域であったこと。2つめに日本において今後AWSを普及促進していくというAWS側の意図もあったのではないかと思われます。

Q.

AWS Standard Ver2.0では普及のための課題が明確化されたとのことですが、どんな課題があったのですか?

A.

Ver.2.0では、その要求事項の多さにより企業担当者の負担が大きいことや、要求事項の中には要件が重複しているものなどもございました。このことから、認証取得に向けての負担軽減が課題であったと考えられます。

Q.

AWS認証取得を検討しているのですが、コア、ゴールド、プラチナのどれを目指すべきですか。
また、貴社にはAWS認証取得支援の実績はございますか。

A.

どのレベルを目指すべきかは、企業様の水管理の成熟度や目標によって異なります。初めて取り組む場合は、まず水管理の基礎を確立する「コア認証(50のコア要求事項への適合)」を目指し、体制が整った段階でより発展的な取り組みや流域での協働が求められる「ゴールド(+15の要件)」や「プラチナ(さらに追加の要件)」へと段階的にステップアップしていくことが推奨されます。また、弊社(八千代エンジニヤリング)では、方針・戦略の策定から「Alliance for Water Stewardship(AWS)認定取得支援」を行うサービスを提供しており、認証取得の支援実績がございます。

Q.

雨水を貯水し、河川に放出する場合は、流域への還元量として加算することはAWSでは許容されているのでしょうか?また、敷地内樹木への散水については地下水まで浸潤しているとは考えられず、同様に流域への還元量として加算することはAWSでは許容されていないのでしょうか?

A.

AWSのプラチナレベル等で求められる「還元(Replenish)」は、「自社が消費・取水した量と同量以上の水を、定量化・検証可能な方法で流域へ戻す活動」と定義されています。還元活動の例としては、重要な湿地への水の移送や、帯水層への涵養、小規模な地域コミュニティへの飲料水供給などが挙げられています。「還元(Replenish)」の定義はAWSの中でも議論が続けられていますが、単に雨水を河川に放出する行為や、蒸発散してしまう敷地内への散水を、上記の「プラスのインパクトを定量化・検証可能な形でもたらすか」という観点において還元として認められない可能性があると考えられます。

Q.

工場などの製造拠点以外の事業所でAWS認証を取得した事例はあるのでしょうか?

A.

AWS規格は、「サイト(実施組織が土地を所有または管理し、主要な活動を行っている物理的な区域)」を対象としており、製造工場に限定されるものではありません。例えば、AWSが重点を置いている分野には「農業サプライチェーン」なども含まれています。ただし、特定の場所に紐づかないサイト(船舶など)は認証の対象外となります。

Q.

このAWSの認証が増えているのは、どのような経緯があるのでしょうか?
またゴールド、プラチナ認証を取ることによるメリットはどのようなものでしょうか?

A.

AWS認証の取得が増加している背景には、気候変動による水リスクの顕在化や、世界の水資源が債務超過に陥る「水破産」への危機感があります。さらに、TNFDやCSRDといった、企業に対する水資源や自然資本に関する情報開示要求が世界的に高まっていることも大きな要因です。また、上位認証であるゴールドやプラチナを取得するメリットとしては、自社の水リスクをより強固に低減できる点があります。加えて、地域社会やNGOなどのステークホルダーからの信頼を獲得してブランド価値を向上させるとともに、流域全体における長期的な水資源環境の維持に貢献できることが挙げられます。

Q.

AWS Standard Ver3.0では、水量リスクと水質リスクは流域でどう優先しますか?判断基準(影響規模・緊急性・可逆性など)の考え方を教えてください。

A.

AWS規格では、水リスクの優先順位付けは「一定の期間内における発生可能性」と「インパクトの深刻度」、および「潜在的なコストおよび事業へのインパクトの評価」に基づいて行うこととされています。具体的には、水量と水質のどちらが事業や地域のステークホルダーに対してより深刻で緊急の課題をもたらすかを評価します(例:水道料金10%値上げへの懸念よりも、水質悪化に伴う処理コストの増加・ブランド価値の低下方が重要度・緊急性が高い、など)。これらを総合的に判断して優先順位を決定します。

Q.

例えば工場が地下水を利用、排水は下水という場合の流域管理はどのように考えればいいでしょうか?

A.

地下水を取水し、下水道へ排水する場合、対象流域の範囲は「水源である地下水の集水域」と「下水処理事業者が最終的に排水を環境に放流する受水域(河川など)」の両方を含む必要があります。自社の敷地内だけでなく、下水処理事業者がどのように水リスクを管理しているかを理解し、地下水の上流と下水処理場の下流の両方に対する影響やリスクを「自社の流域」として把握することが求められます。

Q.

1年ごとにコア→ゴールド→プラチナへと認証レベルを上げていくことも可能とのご説明をいただきましたが、認証期間は3年間との理解です。
その場合、初回審査扱いで毎年審査が必要になるという理解でよろしいでしょうか。

A.

ご認識の通り、AWS認証のサイクルは原則として3年間であり、その間に年1回のサーベイランス審査が行われます。ご認識の通り、認証期間の途中でレベルを上げる(アップグレードする)場合、より高レベルの初回監査扱いになります。

Q.

一般的に、環境関係のガイダンスが新しくなったと聞くと、より複雑に、要求レベルが高くなるような印象を受けています。今回の改訂では逆に要求事項が整理されたということなので、以前よりAWS認証を取得しやすくなったのでしょうか。

A.

実務的な負担という面では、取得しやすくなったと言えます。Ver.3.0では要件の重複が排除され、要求事項の数が98から72へと約27%削減されたほか、専門用語も平易化されて担当者の実務負荷が軽減されました。一方で、気候変動への適応や生物多様性の保全、バリューチェーン(一次サプライヤー等)への水利用リスクの拡張など、近年の環境課題の潮流に合わせた新たな要求事項も追加されているため、対応すべき課題の網羅性やレベル自体は現代の基準に合わせてアップデートされています。

Q.

AWSの認証を取得している拠点はどこの国が多いのでしょうか。

A.

現時点では、世界全体で400以上のサイトが認証を取得しており、AWS認証サイトが最も多いのは中国です。以降、イギリス、メキシコ、ブラジル、インドが続きます。Ver.3.0策定に向けたパブリックコメントには世界29カ国からの参加があり、特に中国、米国、英国などからの関心が高いことが示されています。また、日本国内でも飲料メーカーを中心に登録サイトが年々増加しています。

Q.

AWSを目指す事業会社の中では、どのような業種が多いでしょうか?

A.

AWSが優先セクター(Priority sectors)として挙げている業種には、「農業サプライチェーン」「食品・飲料製造」「テクノロジー・マイクロエレクトロニクス」「繊維・アパレル」「製薬・化学・パーソナルケア」があります。

Q.

TNFDで全体サイトの情報を収集した上で、水リスクの高い、または水資源が事業における影響が高いサイトを優先として、AWS認証取得検討をすればよいのでしょうか?サイトによっては、水に関してリスクのないサイトもあります。

A.

はい、その認識でよろしいと判断します。TNFD等の全社的な評価を通じて、自社の全拠点の中から水リスクが高い、または影響が大きい「優先拠点」をスクリーニングし、その抽出された優先拠点においてAWS規格を活用して具体的なリスク低減アクションを実行する、というアプローチが効果的です。

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